初花

今年の9月、風琴工房「アンネの日」という公演があった。
ズバリである。
1961年、当時27歳の女性が「アンネ株式会社」を設立した。

社名は、アンネの日記に月経に関する記述があったことに由来するらしい。日本では平安時代以降、長く穢(けが)れとして扱われていた月経を、アンネの日記では、甘美な秘密
と表現してあり、これが社長の目指す月経観であるとして、アンネ株式会社命名したらしい。
月経の隠語として“アンネ”という言葉が使われるのは、この会社名が語源である。この会社、1993年にライオンに吸収合併されている。
どうりで聞かなくなったはずである。
この風琴工房、「アンネの日」
本当に必要な生理用品を開発するために、女性開発者達が奮闘する物語とチラシにあり、観に行きたいと思いながら、見過ごしてしまった。
「実際の開発現場等に取材しながら、初潮から閉経まで、全員女性という出演者で、赤裸々かつチャーミングに描きます」
やっぱり…気になる。観に行けばよかった…。
それにしても…甘美な秘密とは…。
元々、正式名は何なのだろう?
生理痛、生理用品…というから「生理」なのか?(「生理現象」の「生理」のような気もする)

月経ともいう。(一般的には使わない)
実に、じれったいほどに適切な語がないのである。
…若い頃、日常的に使われていたのは「あれ」であった。
「アンネ」なんてのも使わなかったように思う。
年配の人は「メンス」「月のもの」…。
今の人はどうなのか…?この間、中学生の娘が「月のもの」などと言うので、ずっこけそうになった。
「穢れ」という扱いではなくなったかもしれないが、
甘美な秘密
には程遠い。
「初潮」という言葉も、好きではない。
「閉経」に至っては、
セクハラではないか?!(隠語で『あがった』とも言う)
ううむ。
女性が女性であるしるし…。
もう少し、繊細で美しい日本語がないものか…?と探したところ…見つけたのである。
見つかったのである。
初めての月経、初潮を、
初花
とも言う。

「初花」の意味
1 その季節に初めて咲く花。

2 その草木に初めて咲く花。

3 その春に初めて咲く花。多く桜にいう。《季 春》「―や大仏みちの人通り/万太郎」

4 17、8歳ごろの若い女性。

5 初潮(しょちょう)のこと。

とある。
「初花」――何と美しい、奥行きのある言い回しであろう…。ぽっ、と膨らんだ蕾のような、「これから」を待つ、初々しい「恥じらい」がある。
また初花(初潮)を祝うことを「初花祝い」というらしい。
これぞ…日本語!だと思う。
赤飯を炊くのかどうか、調べても作法は見つからなかったが、
女性の「しるし」の訪れを祝い、これからの女性としての幸せを「祈る」ような思いが匂い立つ。
「初潮」は生々しいが、「初花」は清潔感漂う。
なのに…どうして言われなくなったのか?
そもそも…知ってる人いるの???
先日、88歳か89歳の桂先生のお宅に行って、この、初花の話をしたら、驚かれたけど…
「こんなの…僕の周りはインテリ多いけど…聞いたことありませんよ」
と言われた。
初花
実にいい。
この呼び方…広められないものだろうか?
https://www.youtube.com/watch?v=WTnGSzUlDYM