2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「がん」という冒険(48)

「別荘から帰ってまいりました」 金曜祈り会である。姉妹方の視線を集めた私は、照れ隠しのようにこう言った。東映ヤクザ映画で刑務所から出所した高倉健が言っていた。刑務所を警察用語で「別荘」と言うらしい。 先週の金曜、手術のために入院するのを「行…

「がん」という冒険(47)

手術から2日目、この病院の朝食はパンらしい。 トーストされていない食パン2枚。 ただし、温めてはある。 小学校の給食についてきた小袋ジャムとマーガリン。 名糖のパック牛乳――。 その他、塩気も歯ごたえもない野菜と果物…。 「通常食」とある。 もう…限界…

「がん」という冒険(46)

痛みも意識もないうちに手術が終わった。 手術台で目覚めた私は、まるで魔法だと思う。 思えば20年前、娘達を出産した時も、 産声とともに、第一子がこの世に現れ、続いて第二子… それはまるで、手品か魔法のようだった。 手術台の上で時間を聞いた私は、予…

「がん」という冒険(45)

手術前夜、祈りに包まれて眠る幸せを感じた私には、 手術に対する恐れなどない。 と読者は思われるかもしれない。抗がん剤治療の苦しみもなかったのだから、術後の痛みも大したことないだろう…くらいにしか感じていないだろう…と。 そんなことはないのである…

「がん」という冒険(44)

スタートした入院生活は、快適なものではなかった。 病室は304号室の6人部屋、入って右手の扉近くが私のベッドである。 他のベッドはすべてカーテンが閉められ、閉鎖的で挨拶するどころではない。 まず、一律に病院レンタルの甚兵衛の上下というものに着替え…

「がん」という冒険(43)

早々と帰還である。 5日入院、6日手術…であるから、手術から2日しか経っていない。 退院予定は10日だった。 今朝、担当医兼執刀医のよしみドクターが様子を見に来られ、手術跡のチェック、痛みの確認、腕の上げ下ろし…すべて問題なし。 去ろうとするドクター…

「がん」という冒険(42)

出撃である。 寝ているはずのαが起き出して、病院まで行ってくれるもよう。 入院中、コロナ禍で面会はなしである。 パソコンは置いていくことにする。 退院予定は10日。 また会う日まで…(^O^)/

「がん」という冒険(41)

入院前日である。 長女αと回らない寿司屋に入り、「最特上」の寿司を注文した。 最特上…「特上」より1200円高い。 最後にここに入ったのは、2月にαの入試が終わった日だった。 特上が美味しかったので、また来ようと思いながら、入院前日の今日になった。 明…

「がん」という冒険(40)

誰もが知るバラの花、しかし、 バラの花びらが何枚あるか? そんなことを考えた人はあまりいないのではないだろうか? 私が母のように慕う◆姉妹は13種類だかのバラを育てている。先月、銀座でデートした際に、◆姉妹は自宅から摘みたての、 ルージュ・ピエー…