いのちのスープ(1)

辰巳芳子という料理家をご存知であろうか?
「天のしずく〜いのちのスープ」というドキュメンタリー映画を見て、

この人はタダ者ではない。
と思ったのであるが、今回また、「プレミアムカフェ」という番組を見て、ますますファンになってしまった。
前回、黒柳徹子×黒柳朝母娘のことを、
この娘にしてこの母あり
この母にしてこの娘あり
と語ったが、この辰巳芳子の母、辰巳浜子も料理家、高度経済成長期にテレビで活躍したそうである。

番組で辰巳芳子が語るに、
「主婦ほど素晴らしい職業はない」
が口癖だったと。
凄い。
ちなみに、私の母は、
「主婦なんかしょうむない」
が口癖であった。
辰巳浜子も、この口癖だけで、
この娘にしてこの母ありこの母にしてこの娘あり
なのだと思う。
ちなみに、辰巳浜子はNHK朝の連続ドラマ小説ごちそうさんのヒロイン、メイコとかなりかぶる部分があり、モデルとまではいかないが参考にしたのではないか、という説あり。
そうは言っても、辰巳芳子、料理することより本を読む方に興味ありで、学者になりたかったらしい。
それでも、時代も時代(1924年生まれ)、19歳で結婚するも出征した夫は帰らぬ人に。戦後、心理学の学者を志望するも25歳で結核になり、15年の闘病生活。
気づいた時には40歳。

なんと無念だったことであろう。
しかし…である。
闘病生活で箸より重い物を持ったことのない15年を経て、台所に立って料理すると、
全然、勘が衰えていなかった。
夫を喪い、子どももなく、夢も青春も失ったけれど、
手の中に残っているのはこれかな?
と思ったらしい。そして、
残り物には福があった。
「天のしずく」予告編https://www.youtube.com/watch?v=A6NAz7PCOdw