「人はかならず、やり直せる」(3)

やくざから牧師になった進藤龍也著『人はかならず、やり直せる』の最終です。
進藤氏の生い立ちについて触れてなかったのですが…。
父親は仕事をもちながらも遊びに豪快で大酒飲み。夜、家にいることはほとんどなかったそうで、経済的な理由から母が夜働きに出ることになります。進藤氏は一人っ子。私の好きな一節があります。
「夜の街に住む多くの子どもたちが、毎晩母親にしてあげる共通のことがある。それは夜働きに出る母親のためにドレスの背中のファスナーを留めてあげることだ」
なかなか詩的です。
「私も友だちも、華やかなドレスに身を包む母親の背中を眺めながら大きくなっていった」
(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン
2年4ヶ月の刑期を終えて出所した進藤氏は、カラオケ居酒屋をやっている母のアパートを訪ねて、三つ指をつき畳に額をこすりつけながら、これまでの親不孝を謝ったそうです。
そして進藤氏は神学校に入学するまで、シロアムキリスト教会で過ごすことになります。
このシロアムキリスト教会の牧師、鈴木啓之というのは元やくざの牧師として有名な人物だそうです。ミッションバラバの代表でもあり…ミッション・バラバって…元やくざが結成した伝道集団で、親分はイエス様が合言葉だそうです。
全く、マジかよ…"┐( -""-)┌ ヤレヤレ"
ミッション・バラバについては、
http://www.netpal.co.jp/barabbas/index02.htm
2001年に「親分はイエス様」という映画も作られ、主役のモデルは、この鈴木啓之氏であるとか。主演 渡瀬恒彦 奥田瑛二 渡辺裕之…というのですから、なかなか豪華です。
ミッション・バラバはやくざの世界では有名で、刑務所のやくざにはよく読まれていたとか。
は〜ぁ、勉強になりますf(^ー^;
進藤氏が初めてミッション・バラバの本を読んだのは、二度目の懲役で秋田刑務所にいた時。その時には
「胡散臭い連中だな。やくざで食いつぶし、今度は牧師のふりをして飯食ってんだろう…」
彼らをペテン師扱いしていたそうです。出所するとミッション・バラバのことはすっかり忘れていたところ、偶然、家の押入れにミッション・バラバの本を見つけ、正体を探ってやろうじゃないか、と鈴木牧師に電話をします。
「K組の進藤ってものだけど」
電話に出た鈴木牧師にそう話しかけると、
「K組の進藤さんですか。K組のことはよく知っていますよ」
電話口で語りかける鈴木牧師の清らかさに、進藤氏は次第に圧倒されたそうです。電話をかける前までは、「インチキ牧師!」と言ってやろうと思っていたのが言えず、
「やくざ稼業でつまずかないように祈ってくださいよ」
訳のわからないことを言って切ってしまったとのこと。
そして、3度目の拘置所の中で、進藤氏は鈴木牧師に手紙を書いてみようと思い立ちます。それも、減刑嘆願書」を書いてほしいという、実に虫のいい内容。期待などしていません。ただもう、「溺れる者は藁をもすがる」。そして…鈴木牧師は進藤氏のために減刑嘆願書を書いてくれたのです。
"°・:,。★\(^-^ )♪ありがとう♪( ^-^)/★,。・:・°"
そんな経緯から、出所後、シロアムキリスト教会の鈴木牧師の世話になることになります。何せ、元やくざの有名な牧師ですから、シロアムキリスト教会にも元やくざが集まってきます。
「やくざとクリスチャンには共通点が結構ある」そうです。
・クリスチャンにとって神様の言うことは絶対であるように、やくざにとっても親分の言うことは絶対。「カラスが白い」と親分が言えば「カラスは白い」んですね。
・ケンカの相手を徹底的に打ちのめすのがやくざ、クリスチャンは自分の中に湧き上がる罪の思いを、固い信仰で打ち砕く。徹底的にやり抜くという点で似通っている。
・どちらも礼儀正しく、受けた恩は必ず返す。
"(*^^)/。・:*:・°★,。・:*:・°☆!"
そして、「いつでも、どこでも、だれでも」を標語にする、上野にあるJTJ宣教神学校に通うことになります。
友達もできず、ひっそりとなりをひそめながら学校生活を送っていたある日、進藤氏は学校で国際部長を務める中野牧師にトイレでこう声をかけられます。
「君はイレズミを背負っているのかね?」
狼狽しながら、
「はっ、はいっ」
と答えると、中野牧師はこう答えます。
「うん、そうか!男らしくていいぞ!頑張れよ」
「ドモ\( ̄▽ ̄*)(* ̄▽ ̄)/ドモ」
安心したのも束の間、中野牧師が教壇に上がるなり、
「皆さん、一番後ろの彼はイレズミを背負っているそうだから、見せてもらって友達になりなさい」
((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
その時は面食らったものの、これがきっかけで進藤氏は次々と友達を作ることができたそうです。
そして…
「神学校にいるうちに開拓(教会を開く)してみたらどうか」
という中野牧師の言葉を実行することになります。
母親が経営するカラオケ居酒屋を土曜の午後だけ借りることにして、2005年10月、「罪人の友 主イエス・キリスト教会」が誕生します。
そして、JTJ神学校を無事に2年で卒業し、晴れて夢だった牧師に…
":*・゚☆.。.:*・゚£(。・""・)o[†...Thanks...†]o(・""・。)β。.:*・゚☆.。.:*"
それから進藤氏は刑務所伝道、受刑者との文通…を始めることになります。
前科7犯、刑務所暮らし計7年の元やくざが、牧師になって第二の人生をスタートさせたというのは、なかなか説得力があり、出所後、進藤氏の教会に通い始める人もいたものの、ある日、パタリと来なくなるのがほとんど。信仰のための「土作り」と「種まき」は、実りを得られるまで時間がかかると、聖書にも書かれています。
わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。       
(「マタイ福音書」9章13節)