皆さま、お待たせ致しました。別にジラしたつもりはないのですが…今日は、ホントに石井輝男の「地獄」行くぞ!!

そうですね、先月、この石井輝男の「地獄」を見て、ブログに更新しようかな、と思いはしたのですが…。なぜしなかったのかな。ブログに書くには、一回見ただけでは不正確だと思い、「もう一回見なきゃ」…と思って、もう一回見る根性がなかったんですね。
この映画、物凄く強烈です。どんなに強烈かと言うと…。ちょっとウェブサイト覗いて見て下さい。読まなくても、「見る」だけで十分です。
http://www.fjmovie.com/ishii/jigoku/s&c-frame.htm
見、見、見た〜〜〜(ヽ>ω<)ヒイィィィ!!●~*ヒイィィィ!!(>ω<ノ)ノの世界でしょ?
しばらくはいいよ。
二度といいよ…f(^ー^;
でも、相手は執拗で、ブログにアップしなかったため、成仏せず、ダンテ「神曲」見てる私に、存在を訴えかけて来たのですね。
シ━━(^(^(^(^(^(^ω^;lll)━━ン

物語は、リカ・佐藤美樹が街で不思議な夫人(キャストでは「老婆」)実は閻魔大王・前田通子と出会い、地獄ツアーに招待されるところから始まります。このリカ、実はオウム真理教をモデルにした劇中の新興宗教の信者なんですね。オウム真理教宮崎勤の連続幼女殺人事件、和歌山毒入りカレー事件…が再現されて、主犯者達が地獄の責め苦を受けます。特に、オウムに費やされる部分が多く、活動の裏側や例の坂本弁護士一家殺害事件も赤裸々に再現されます。あの上祐史浩のソックリさんも登場。

今から思うと、物騒な日本でしたね。平和大国・日本のイメージが崩壊しました。オウム事件が1995年、映画公開が1999年ですから、まだ事件としては生々しかった頃。内容があまりに過激なため、及び腰になるスタッフ編成は難航し、ピンク映画のスタッフと、石井監督を慕う若いスタッフ、それに映画製作を志す映画学校出身の若者や学生などを中心に、スタッフ編成が行われたそうです。

監督インタビューで、この映画を撮った動機について、
「ちょっとねオウム事件が風化とか云われてね、こう忘れられたような形になってくんですね。だからねこれは一時あれだけ大騒ぎした事がね風化しちゃったって事はこれはもう悲しい事だし、そのまま忘れられちゃ絶対いけない事だから、これに対してね、ちょっと皆さん忘れないで下さいと、こう云う事ですよって事をね、いっぺんおさらいしたいなと、それですね」

妻を始め、親類縁者は皆、反対。「危険」だってことですね。確かに、相手は手段を選ばぬオウム。地位も名もある監督が、命を投げ出してまで映画を撮る必要があるのか…と、誰でも思います。すると監督、「そういうのがあると逆にヤル気になる!(^-^)v」

まぁ、逆巨匠ですから、ヘソ曲がりなのはわかるけど。
でも、男盛りならまだしも、1924年生まれの監督、75歳ヽ(▼o▼)スゴイ!石井輝男に「老境」という文字はなかったのですね。或いは…病院や施設で死ぬより、映画製作中に「謎の死」みたいな方が、自分の人生哲学に合ってると思われたのでしょうか。確かに、カッコいい、カッコ良すぎます。桂先生もこのダンディズムに惚れて、裁判長役に出られたのでしょう。(上記ウェブサイト、スタッフ・キャストに「桂千穂」の名前あり)
YAH♪☆0(^^0)*^^*(0^^)0☆♪YAH
もう、オーディション前日に、「中止にしましょう」「この企画やめましょう」みたいなことになって、

「だからそれは判ったと、だけどね、まあ、俺は一人でもやるよと。君達がこれに関わったって事でね、怖いんだったら、俺は君達の名前絶対出さないし、俺が受けて立つからね、て云う事で、それでね、新たに編成し直したんですよね。で、今度は編成し直した人については俳優さんを含めてね、大丈夫だね?途中で逃げないね?と、やるね?決心あるね?と確かめてね、そしたら皆ね、だいたい、ええ、もうオウムのああ云う事許しませんよって俳優さんだけね、採用した訳」
素晴らしい、痺れますね!!(≧o≦)ノ

で、閻魔大王の「前田通子(まえだみちこ)」について…。(サイトの写真参照)

いきなり、公園で若い娘、リカに声をかける夫人…から映画は始まるのですが。この女優…。見覚えはないけど、すごく存在感あって、魅力的なんですね。舞台女優?と思ってたら…あの閻魔大王の強烈コスチュームになって…。
( ̄_ ̄ )/\( ̄ー ̄)/\(  ̄− ̄)ノ゛ドモモモ・・
正統派の女優は、こんな閻魔大王やらないよね???

で、調べてみたら、何とも不思議な経歴。「幻の女優」と言われる由縁ですね。
まずは、戦後のグラマー女優、第一号。1956年、初主演の「女真珠王の復讐」で後ろ姿の全裸シーンが話題になり、スターダムに。ところが翌年、トラブルで映画界、テレビ界から一切仕事を出来ないことに。干されるわけです。そのトラブル、少し長くなるのですが、興味深いので書きます。
1957年の映画『続若君漫遊記・金比羅利生剣』に町娘役で出演中、加戸野五郎監督にカメラが下からのぞく中、二階の階段の上で裾をまくれと注文される。事前の打ち合わせにも全くなく、下着も履かない時代(=時代劇)の普通の町娘がそんなことはしないと彼女は拒否。押し問答の末、新東宝社長の大蔵貢に直訴すると役を降ろされ、6ヶ月の謹慎と会社への損害賠償として100万円(当時)を払えと命令される。
彼女は人権擁護局に訴え、主張が認められて新東宝から謝罪と30万円の慰謝料が彼女に支払われたものの、一女優になめられたと怒り心頭に発した大蔵貢五社協定を使い、映画界はおろかテレビ界にまで圧力をかけ、彼女が女優の仕事を一切できないようにしたそうです。何ともひどい話。以後、テレビドラマの出演はあったようですが、実に、42年ぶりの映画出演だったそうです。

で、最後に降って湧いたように登場するのが…丹波哲郎「明日死能(あしたしのう)」役で、これ、石井輝夫作品の「ポルノ時代劇 忘八武士道」に出て来る、丹波哲郎(明日死能役)なんですね。詳しくは、http://www12.ocn.ne.jp/~nacky/bouhachi.html
ああ、「ポルノ時代劇」小池一夫の原作だから面白いんだろうけど(/-\*)
ちなみに、「忘八」とは、

孝:親孝行の孝を忘れる
悌:兄や目上に使えることを忘れる 
忠:君に尽くすことを忘れる 
信:人を信ずることを忘れる 
礼:礼儀を忘れる 
義:正義を忘れる 
恥:恥を忘れる
だそうです。これで「武士道」ですか…。確かに、丹哲ならはまり役かも。本人が原作の大ファンだったとか。

この、映画人、みんなドン引いた映画に、あの丹波哲郎が…と思ったのですが。
やっぱり、丹波哲郎も変態…否々、ダンディズムあります。監督が持ちかけたら、「もう、それは僕がやるしかない」と快諾!(ちなみに、桂先生は好きな俳優に「丹波哲郎」を挙げています。やっぱり…変態は変態を…否々「忘八武士道」の衣装でまんま登場しました。

こんな具合に見ていくと…見所満載の映画なんですね(^O^)/
DVDなら一度見て、損はないと思います。

最後に、石井輝男は2005年、8月12日没。翌、2006年8月5日、監督の生前の意思により、網走市内の潮見墓園に墓碑が建てられ、遺骨が納められました。「安らかに 石井輝男」と記された墓碑の碑文は、高倉健によるものだそうです。
やっぱり、
カッコいい〜〜〜

ヤァ \(⌒∇⌒(⌒∇⌒(⌒∇⌒)⌒∇⌒)⌒∇⌒)/ ヤァ