「沓掛時次郎 遊侠一匹」(3)

桂先生のお宅を訪問する。
読者の皆さまにはご報告が遅れましたが、昨年より、シナリオ作家協会主催のシナリオ講座、学長に新藤兼人氏の後任として桂千穂先生が就任されました。(今年100歳を迎えられる新藤兼人氏は名誉学長に)
そして、4月からの研修科講師として指導にあたられることになりました。
「週に一度土曜だけならいいかと思って。基礎科と違って研修科だから、基本は出来てないとダメだけど、来そうな人がいたら声をかけてみてください」
とのこと。学長自ら教壇に立たれるということですので、ご興味のある方はどうぞ(^O^)/
http://www.scenario.or.jp/kouza/
それにしても…日活ロマンポルノを書きまくっておられた頃は、日活で「変態脚本家」などと言われてた先生が、伝統あるシナリオ講座の「学長」ですから(^◇^;)
はい、これから本題に入ります。
「先生、あの『沓掛時次郎 遊侠一匹』なんですが、非情に見事な映画で唸ってばかりなんですけど、渥美清の出てくる前段と、それからの原作にある本編が、どうもトーンが違うような…前段は前段で完成度高いんですが、つながりとしてギクシャク感があって…」
「それじゃ、加藤泰(監督)と同じなんだ」
「はい。これを読んで、映画の裏舞台がわかって勉強になりました」
取りい出したる一冊の本は、日本カルト映画全集5「沓掛時次郎 遊侠一匹」(ワイズ出版
はい、前回ブログで紹介致しました「沓掛時次郎 遊侠一匹」の原作、映画シナリオ、インタビュー…を掲載した本なんですね。
この映画、否、加藤泰監督の熱狂的ファンである方からいただいた著作なのです。
この本に脚本を担当した鈴木尚之、掛布昌裕、両氏のインタビューが載っています。(加藤泰は既に故人)
それによると、渥美清登場の前段は脚本のオリジナル。これを監督が、前段を入れるより、その分、原作による本編を膨らませたい。これを、当時、もの凄く力のあった鈴木尚之氏、
「加藤さん、嫌だったらおやめになったらいいじゃないですか」
監督降りろ、って言うんですね。
シ━━(^(^(^(^(^(^ω^;lll)━━ン
「あれ(前段)があるからいいんじゃないですか。あの部分が凄い、ってことになってますからね。あれがなかったら、『沓掛時次郎』なんて大した違いがないですよ」
と先生。
「もう一度、見直してみますf(^ー^;」
「鈴木さんの言うとおりにしてよかったんです。あの頃、尚之さん、肩で風切ってたからね。『鈴木直さん(直さん=シナリオの直しをしない。初稿で通す)なんて呼ばれてたから』」
言いながら、日本カルト映画全集5「沓掛時次郎 遊侠一匹」を手に取り、熱心に読み出され…。
「こんなの出てたんだ…」
同じく日本カルト映画全集10に、先生の「暴行切り裂くジャック」(監督長谷部安春)シナリオを収めたものが出ているそうです。
「どうして社長はくれなかったのかなぁ。大抵くれるのに」
尚も未練ありげに日本カルト映画全集5「沓掛時次郎 遊侠一匹」を離そうとされない。
「それ、鈴村さんが初対面の私にくださったんで、先生になら喜んでくださると思いますよ」
「そんなの、『欲しい』なんて言うの悔しいじゃないですか(*`Д´)」
はい、著者の鈴村たけしさんと桂先生とは、もう長〜いお付き合いなんですね。
「社長に貰おう(^ー^)ノ」
実はこの、鈴村たけしさん。かのヨコハマ映画祭代表で、先生と言えば、
ヨコハマ映画祭が京浜映画劇場でやってた時から行ってたからね」
今は関内ホールで催されてますが、第1回の1980年、翌年の1981年は横浜、鶴見にある京浜映画劇場で開催されたとか。桂先生はヨコハマ映画祭の審査員として、今月5日(ヨコハマ映画祭は毎年2月開催)も壇上に立たれたとか。
「鈴村さん、加藤泰ですから。変な人です」
加藤泰より、石井輝男の先生の方が、よっぽど変だと思うんですけど( ̄▽ ̄;)」
「そうですか?」
石井輝男については、2010・5・26ブログ「逆巨匠 石井輝男」をご参照いただければ幸いです。
加藤泰については、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E6%B3%B0
桂千穂×鈴村たけし
映画のことなら徹夜でも喜んで話し込む二人。永遠の映画青年のような(o^∇^o)
「鈴村さんって、全然変な人じゃないじゃないですか。ヨコハマ映画祭興(おこ)した人とか聞いてたから、押し出しの強い、業界のドンみたいな人想像して会うのが怖かったんですけど」
私が言うと、
「(頷いて)良い人ですからね、あなた、悪い人だから裏切ったらダメですよ」
「そんな……(っ*´ё`)b」
知人を介して昨秋お会いした鈴村さんは、想像していた「業界人」とは真逆の人。「映画人」ではなく「映画ファン」と言われたところに、とても好感をもちました。
「ものすごく謙虚な方で、誠意があって、こういう方がどうやって、クセ者の業界人…と付き合ってるんだろう、って」
「(頷いて)サラリーマンやりながらやってたんでしょ?」
「(頷いて)クビにもならず、定年退職されたそうです」
「僕もね、真面目な人は出世しない、って断言してたんだけど、彼の場合はね、どうなってるんでしょうね( ̄_っ ̄)フーン」
とにもかくにも、昨年、鈴村さんと出会えたことは人生の収穫でした。
鈴村さんについて、このような記事を見つけました。ここにある「映画の神様」、この「映画の神様」の存在を感じます。
http://www.teinenjidai.com/yokohama/h22/02/index.html
今年の映画祭は行けなかったんですが、来年には是非、行きたいと思います。
"+;・ο。.・;+:+.。ο・;+*:゜・☆ヾ(・ェ・。`U 了└|力""├♪"