「君、出身は?」
「岡山です」
「吉備(きび)の国か。埴輪の故郷じゃないか」
場所は大学の史学研究室。ズラリと埴輪が並んでいます。
「暗くした方がよく感じがつかめる」
助手の本堂が部屋の明かりを消し、暗がりの中に数々の埴輪が浮かび上がります。それを、涼子が魅入られたように見つめます。涼子に一目惚れした本堂、いきなり涼子を口説きにかかります。
埴輪の中の一体「埴輪の乙女」とやらを手に取って、
「このあどけない目、口のあたり…。大和時代の処女は、こんな純潔そのものの表情で生き埋めになったんだよ」

本堂は涼子がこの「埴輪の乙女」そっくりだと言います。「処女なんだろ?」と押し倒し、抵抗する涼子に「『埴輪の乙女』は、もっと従順で〜」と…。涼子は本堂をはねつけて研究室を逃げ出すのですが…。
「今度、三雲教授を紹介するよ。毎週金曜、小パーティを開いてる」――「君はきっと来る!」
意味ありげな台詞を残します。

ホテル強制わいせつ事件 犯して!の1シーンです。
う〜む、すごい!
低予算で男女のSEXの世界を描くロマンポルノ。人気スター、アイドルを起用出来るはずもなく。3本立てとかで上映するわけです。いくらストーリーひねくっても、良く出来てたとしても、マンネリになるのはあたりまえ。「看護婦」「女教師」「団地妻」…果ては「海女(あま)」「修道女」までシリーズ化されても…観客は飽きる。で、色々、小道具やら仕掛け…をひねり出すわけですね。で…

ピーター先生、今度は「埴輪」ですか…( ̄▽ ̄;)

71分のロマンポルノに「埴輪」を持ち込むとは…。これがもし、違和感なくロマンポルノに消化されたとしたら、もう、脱帽m(_ _)m …と思いながら、見ました。結果として…

参りました!(ヽ>ω<)ヒイィィィ!!●~*ヒイィィィ!!(>ω<ノ)ノ

映画が「埴輪」世界に始終することなく、宮井えりな演ずるルミ子と、山科ゆり演ずる涼子の若い女の世界を、これでもかこれでもか…と魅せてくれます。2人は高校時代、同性愛の関係にあったものの、ルミ子が大学進学のため上京し別れ別れになります。交換ゼミナールのために涼子は岡山から上京してルミ子と再会するわけです。
この映画、「その年の(ロマンポルノ)ベスト1か2くらいにヒットした」というのが頷けます。その勝因は、まず、主演の宮井えりなと山科ゆりの綺麗さ…。時代がかったところのない、今風の「綺麗なお姉さん」なんですね。特に、ルノワールの処女」「埴輪の乙女」…に例えられる山科ゆりの清楚な美しさ。栗色のセミロングに金縁メガネ…。まさに、「オオカミに狙われる子羊」!
2人の女優が贅肉のないマネキンみたいな裸体を惜しげもなく見せます。思うに、「ロマンポルノ」くささがない。サラリと脱いでベッドシーンも「えぐさ」がなく綺麗なんですね。シュチュエーションは過激なのに、映像として美しい。
この監督、タダモノではないと思いました。
監督の蔵原 惟二(くらはらこれつぐ)は、あの、「キタキツネ物語」「青春の門」「南極物語」…などで知られる蔵原 惟繕(くらはらこれよし)の実弟南極物語」では企画・プリデューサーを担当しています。
過激なシーンの一部を披露してみると…

ルミ子と不倫相手との車中でのSEXを見てしまった涼子。ホテルに帰って来たルミ子を「あんな獣みたいなマネをして!」とののしります。自分の知らない世界を知っているルミ子への嫉妬ですね。帰ろうとするルミ子を帰しません。ルミ子も応戦します。
「どうだった、宗谷さん(涼子の初恋の相手)のあれ。こんな太かった?」
とビール瓶持ち上げます。
「入れてみようか、宗谷さんのあれ…」
と、青いスカートの下に手をのばしてパンストめくり…ビール入ったままの瓶を突っ込みます。愕然とする涼子に、
「見るのよ、見なさいよ!!」
ルミ子は陶然としながら、体内に流れ込むビールに、
「彼(不倫相手)のザーメンも洗い流すことが出来る。ヒリヒリするわ…」

これ…とてつもなく強烈で卑猥なシーンのはずなのに、卑猥感がない。女性でも正視出来ます。というより…女性に見て欲しい。このシーンを見るだけでも、このDVDは見る価値アリ!女同士の嫉妬やら情念…が逆巻くはずなのに…とてもサラッ、としてるんですね。ルミ子がショック受けてる涼子に、睡眠薬混ぜたビールを勧め、「これでゆっくりお休みなさい」と立ち去るところも好感がもてます。

涼子がホテル荒らしに遭い、犯される直前のところにルミ子が駆けつけます。襲いかかるホテル荒らしの犠牲になりながら、「今のうちに警察に電話して」と涼子に訴えるルミ子。しかし…涼子は怯えつつも電話しようとしません。犯されるルミ子を見ています。この時のルミ子の表情…宮井えりなの演技…すばらしいポッーー (*^。^*)~~~~ 
用を足したホテル荒らしにルミ子は唾を吐きかけます。出て行くと即座に警察に通報。並の映画なら、涼子に唾吐いてると思うのですが、そんな泥仕合は全くありません。
お見事…YA〜 \(@ ̄∇ ̄@)/ YA〜

最後にはルミ子が、不倫相手に涼子の処女を託します。涼子のために、涼子に「男を教えてやってくれ」ということなんですね。

ピーター先生こと、桂千穂先生…。この脚本には「50日くらいかかった」と複雑な表情。通常、ロマンポルノの脚本打ち合わせにはひと月くらいかけ、それがまとまると執筆は一週間から10日というのですから、50日というのは異例中の異例。「監督の言うことが全然、わからなかった( ̄0 ̄;)」
――大変な難産だったようですが、それが見事に結実したと思います。

と…ここまで来て…
あれれ、「埴輪」は…?あの意味深な金曜日の小パーティは???
見れば1時間3分を経過。残り時間8分…。
一体、どうなるの〜?と心配したのですが…。

山科ゆり一人舞台の「(埴輪)パーティ」が最後の大ラストで待ち受けていました。

"+;・ο。.・;+:+.。ο・;+*:゜・☆ヾ(・ェ・。`U 了└|力""├♪"

桂先生、蔵原監督…どうもどうも、ありがとうございました。GW最終日をたっぷりと楽しませていただきました<(_ _*)> アリガト

大ヒットはしたものの、先生ご自身はシナリオの出来について「わからないんですよ"(-""- )"」…ご苦労の後が忍ばれますが…。大丈夫、大傑作だと思います!!\(●⌒∇⌒●)/ニャリーン