「レイプ25時 暴姦」(1)

この映画、レンタルDVDで見てから、渋谷の劇場で観た。
久しぶりに改めて見たが…。
凄い。
こんなロマンポルノ見たことない。
まず、
登場人物に名前がない。

DVDパッケージのあらすじを見ても、若い男(塚田末人)、赤いジャンパーの男(石山雄大)、若い女(山科ゆり)…とある。
(しかし、映画の案内やブログには、若い女「ルリ子」と書かれてあったりする。なぜ「ルリ子」なのだろう?)
普通、ドラマの中で名前を呼び合わなくても、とりあえず、登場人物には名前がある。それがない。そして、「名前がない」というのが、何だかスマートでリアルな気がしてくる。
台詞が少ない。
ごちゃごちゃしゃべらない。それが迫力あり、カッコイイ。バイオレンスポルノ!
男が主人公。
ある夜、ガソリンスタンドで働く若い男が赤いジャンパーの男と出会うところから映画は始まる。赤いジャンパー男はホモの三人組に追われている。…どこがロマンポルノやねん!?と戸惑う。結局、2人で何人もの女を犯すのだが、この若い男が赤ジャン男によって一人前の男になる、というお話で、全然ロマンポルノではない。
説明がない。
おそらく30代の赤ジャン男は時々、ガソリンスタンドを訪れるようになる。流しで部屋に押し入り女を襲うのだが、堅気なのかヤクザなのか変質者なのか…正体不明。(なにやって食うてんねん?)また、赤ジャン男を追いかけるホモ3人組も、3人組の王子的男が赤ジャン男にメロメロで、「ねぇ、一度でいい。僕を可愛がって」。この辺の経緯も一切説明はない。ただ、赤ジャン男にその気はないため、一心に逃げる。
それらがすべて功を奏したのは、脚本の腕前と演出の妙だろう。日活ニューアクション路線を牽引した長谷部安春の乾いた演出はさすがである。特に、バレリーナの山科ゆりが犯されるバックにブラームス交響曲第3番第三楽章が流れるのには…感動した。
この映画、白坂依志夫桂千穂の共同脚本になっている。今日、桂宅を訪問して確認したところ、
「白坂さんが書けなくて…長谷部安春の言うことなんか、書けませんよ!で、伊藤(亮爾)プロデューサーから電話をもらって」
この伊藤プロデューサーというのが、桂先生の素質を見抜き、(「僕のバタ臭さを一番わかってくれた人」)これこれこういうことになってと、長谷部監督の筋立てを口頭で言われたとか。それを先生、2日で書いたと。(前年、「暴行切り裂きジャック」で伊藤P、長谷部安春監督の映画を成功させている)
桂千穂の力技(ちからわざ)。
ではあるまいか?
で、声かけたのは伊藤Pなのに、長谷部監督が、
俺が公衆電話から桂千穂に電話した。
などと手柄を横取りしたとか(笑)
また、ホモ3人組に追われる赤ジャン。最後には逃げ切れず、水のないプールで死体となる。それから…ズボンの尻を裂かれて突っ込まれ、歯を叩き割られて王子のモノを突っ込まれ…(ロマンポルノで)ここまでヤルかと思う。
で、この、「歯を割られて(歯があると突っ込めない)口の中に突っ込まれる」というアイデア長谷部安春のアイデアだったのが、息子に問われた時、
桂千穂が考えた。と言い逃れ、(妻子のない) 先生は、
汚れ役を引き受けた。
とか…。
山科ゆりが犯される時に奏でられるブラームス第三番第三楽章はこれです。
https://www.youtube.com/watch?v=kRocDVZUfqQ