これ…1971年、監督ドン・シーゲル、主演クリント・イーストウッドで公開された映画なんですが、興行的には失敗だったそうです。その後、このコンビによる「ダーティハリー」が大ヒット!その名を世界に轟かせました。ですが監督は、この「白い肌の異常な夜」を自らの最高傑作だと評しています。暴力・アクション映画で鳴らした二人。サスペンスな映画は異色とも言えます。

−−「白い肌の異常な夜」。このタイトル…。まるで「日活ロマンポルノ」みたい〜と思った私ですが、内容は、
本当に、「日活ロマンポルノ」でした(^◇^;)


森の中の女子学院(全員女)という聖域に、負傷した兵士が一人、運び込まれて学院内の秩序を乱し…とんでもない顛末になるというお話なんです。ただ…「日活〜」と違うのは、露骨なシーンがまるでないこと。飽くまで「匂い」や「雰囲気」、醸し出す「空気」…なんです。この辺エロではなく限りなくエロスなんですね。

背景は南北戦争、末期。深い森の中にある女子学院。その生徒であるエミーがきのこ取りをしていて、瀕死の重症を負った北軍兵士(イーストウッド)を見つけ、助けます。で、二人の最初のやりとり。これが、もう、限りなく…(/-\*)。


兵士「いくつ?」
エミリー「12。この夏で13歳になるわ」


って…。死にかけのクセに、いきなり少女の年齢聞いちゃうヤツ( ̄▽ ̄;)
せめて、聞くとしたら、名前だろ…"(-""-;)"


で、たっぷりしたエプロンドレスに金髪の三つ編み少女、あどけないエミーが「12」はともかく、「もう少しで13歳」と言うところが、実に、この、憎い〜〜〜!と思うのです。
12〜13歳って、複雑微妙…。14〜というと、無邪気さより、ある程度色がついてて、生臭い感じが私的にはします。12〜13ってとこが、無垢だけどちょっと小悪魔。無自覚ながら明らかに兵士を「男」って意識して言ってますよね?

この、たった二行のセリフだけでものすごくエロティック。戦禍の中、深い森、傷を負った兵士と汚れを知らぬ少女の…最高にエロティックなシーンだと感じました。
このすぐ後、兵士は追手の南軍の目を誤魔化すため、エミーを抱きしめてキスします。もちろん、濃厚なキスじゃないですが、明らかにエミーにとってはファーストキス…。この辺の流れも痺れるほど、憎い憎い…(≧o≦)ノ

戦禍を避けて自給自足の生活を送る女子学院の中は、院長から教師、生徒…女女女。まさに女の園彼女らは時代、状況もあり、極めてストイックな生活を送っています。そこへ…傷だらけの兵士、しかもフェロモン発散させまくり、男臭さむんむんのイーストウッドがやって来るのですから…。
見るからに厳格で、やや薹(とう)の立った院長やら、「15から22の今までずっと学園にいて、日曜の教会以外出たことがない」と言う女教師やら。その無垢な女教師に、いきなりイーストウッドのタラシが炸裂します。


「あんたは『眠れる森の美女』だ」
女教師が「!?」となったところへ更に追討ち
「王子のキスを待っている」−−いやぁ、究極の殺し文句!後の展開は予想出来ますね。


抑えれば抑えるほど溢れるのが欲望イーストウッドの出現で、戒律厳しい学園に怪しい妄想、嫉妬、ただならぬ空気が渦巻きます。みんな、澄ました顔の下で「女」が頭をもたげる。生徒の中には、成熟した肉体を持て余した少女も…。彼女は言います。

  「17歳よ。でも、年の割には色々知ってるわ」
ホントに、これ、一歩違えば成人映画。ロマンポルノの世界。私はあまり知らないのですが、例えば、看護婦寮とか教会に強盗とか凶悪犯が逃げ込んで…って、あるような気がします。

イーストウッドは敵軍なんですが、院長は味方の巡視隊からイーストウッドをかくまうんですね。この院長も少しずつ、糸がほぐれるように女の顔を見せていきます。そして、 
最後にはイーストウッドにとてつもない仕打ちを…m(;∇;)m


「白い肌の異常な夜」って、誰が翻訳したのでしょう。原題は「欺かれた者」。私的には、エロスを極限にまで膨らまして閉じ込めた、飛び切りエロティックな映画で素晴らしいと思うのですが、興行的に失敗と言うのは…。
やっぱり、想像や妄想を刺激されるだけでは多くの人は物足りない、エロスよりエロがお好みなのでしょうか…
そうそう、最後にこんな笑えるセリフも。

黒人のお手伝いが言います。

「久々に鶏が卵を産んだわ。あなたの影響よ(^○^)」


(*^^)/。・:*:・゜★,。・:*:・゜☆アリガトー!