始まりは…『介護士菜々子の事件日誌』でした。

「タイトルは介護士菜々子の事件日誌』。いいだろう〜(o^∇^o)ノ 」
そう、最初決まっていたタイトルは、介護士菜々子の事件日誌」だったんです。企画のSさんが勝手に決めたタイトルでした。確かに色んな意味で介護が旬でした。しかし…。
「フラッシュ・モバイルに介護士菜々子の事件日誌』連載するの?(-_-;」
と私。
「そうだよ〜。すごいんだぜ。介護の現場ってさ」
何を隠そう、私もヘルパー2級の資格を取り、取材を兼ねて介護施設で3ヶ月ですが働いたことがあります。オムツ交換トイレ介助もやりました。介護の現場が「すごい」ことくらいは知ってます。介護ヘルパーを主人公にした漫画もドラマもありますよ。でも…。
「フラッシュ・モバイルの読者が、土曜の夜に介護ヘルパーの話なんか読みたくないと思う…」
フラッシュ・モバイルは読者の7割が3〜40代男性。他の連載はすべて官能小説です。
「そうかなぁ」
要介護の爺ちゃん、婆ちゃん…相手に甲斐甲斐しく働く菜々子が、いくら若くてナイスバディの美人だって…。
せっかく官能小説でいきり立ったモノが、一気に萎えてクレームが…( 。-ω-)-ω-)-ω-) シーン・・・
「あなたは読みたいの?(`ヘ')」
「彡(-ω-;)彡ヒューヒュー」


初めて北京ダックさんとお会いしたのは、去年の4月でした。永作博美そっくり…!(不思議なことに、会う度に彼女の印象が違うのですが)上品で可愛らしい、素敵な女性…が、口を開いた途端…( ̄O ̄;出るわ出るわ…結婚生活が破綻したストーリーが怒涛のようにほとばしり出たのです。

『オセロの一手で、それまで白だった陣地が一瞬に黒一色に塗り変わることがある。百合子の純白だった結婚生活が暗黒に塗り替わったのは、あの、黒ずくめの女の出現だった』
これが、「天使の自立」の冒頭です。
私が驚いたのは、彼女の記憶が実に鮮明で詳細なこと。10年近く前のことをとてもリアルに覚えているのです。記憶が鮮明なだけに、それがたまりにたまって出口がなく、行き場を失っている。それが取材というかたちで一気に吐き出されたという印象でした。
何せ…結婚したお相手は、18歳で知り合った初恋の相手で、初体験の相手。結婚したくてしたくてしたくて…結婚してからも大好きで…子供が産まれてからもラブラブだったのですから…。(裏切られているとも知らず"(-""- )")純粋だった分、負った傷も深いのでしょう。

「天使の自立」というタイトルは、この時、彼女の話を聞きながら思いつきました。シドニー・シェルダンの「天使の自立」はよく知られています。これとの違いを出すために副題を「セレブ妻の冒険」としました。

ありがたいことに、連載が始まってから、北京ダックさんが「この小説のファン(* ^ー゚)ノ」と言ってくださいます。私の経験は、この小説のためにあったとも。

こんなに可愛い人でも、結婚して幸せになれないんだな、と思った私でしたが…。取材を重ねるうちに…。
バブルという時代もあったのでしょうが、女子大時代のおこずかいが月に50万だったという北京ダックさん。結婚後も、テレビ局勤務の夫(26歳)の年収850万では全然足りな〜いと、実家から月々20万の援助を受けていたとか。ただ、それを贅沢三昧、湯水のように使うのではなく、愛する人には惜しげもなく捧げる、見返りを求めない…。打算づくめの私(ー_メ)なんぞにはマネ出来ない一途さ、純粋さ…なんですね。

北京ダック千都子さんは、無数の顔をもつ万華鏡のような女性。開いても開いても別の扉がある。
なかなか…一筋縄ではいかない人でした。

・:*:・゚☆d(≧∀≦)b゚+.゚イイ…