「がん」という冒険(60)

「あ、きたきた~」

院内の案内図を手にやって来た私を、子どもを待っていたように廊下で迎えてくれた看護師さん。

なんか凄い。

初めての病院で、私は今日から放射線治療を受けるのである。

・初めての病院

放射線治療

「あ、きたきた~」でそんな緊張感が一気にほぐれるではないか。

今までがんの治療に通院していたのは○病院で、そこには今も3週間ごとの抗がん剤治療に通っているが、○病院では放射線治療ができないらしく、よしみドクターに紹介状を書いてもらい、この★病院に放射線治療で通院することになった。放射線治療を受けることは手術前から決まっていた。

 

診察室で★病院の女医から放射線治療の目的や副作用、治療方法などを説明される。

がんに放射線を当てることで、がん細胞は徐々に死滅する。放射線治療とは、毎日放射線を当てることで少しずつがん細胞にダメージを与え、がんが縮小・消失する効果を狙う。正常な細胞は徐々にダメージを受けても回復することができる。

私の場合、「がんは消えた」ということにはなっているが、手術は不可能な細胞レベルのものがCTで認められ、(がん細胞が病巣になるまで10年ほどを要する)がん再発のリスクを下げるとともに転移予防のためもあるらしい。

放射線治療がスタートするわけだが、今日はオリエンテーションということで、放射線を当てる箇所にマーキングしたり、当てる際の呼吸法(深呼吸して息を止める)を練習したり、ということであった。

 

診察を終え、私を迎えてくれた◎看護師の案内で放射線治療室に向かう。上半身裸になるように言われるが…。

な、なんと、スタッフに男性がいるではないか。去年の11月から始まったがんの検査および治療において、(素肌を見せたり触れられることのない)MRIを除いて、男性職員はいなかった。それも、髪(クセ毛)も肌も黒々とした、黒縁の眼鏡に声のよく通る肉食系の男性は放射線技師で場のリーダーのようだった。

大きな声では言えないから小さな声で言うが、私は肉食系男子が苦手である。

胸にタオルを巻いて寝台に横たわるも、タオルは容赦なく取り払われ、

「リラックスしてくださいね~」

よく通る声は、まるでディスクジョッキーのようである。こんな状態でリラックスもないと思うが、向こうにしてもそう言うしかない。

肉食系男性技師◆と助手(女性)、◎看護師(女性)の3人で放射線治療オリエンテーションが始まる。

放射線を照射する位置を正確に決めるため、両腕を上げ、治療と同じ姿勢でCT撮影し、裸の上半身にマーキングされる。もちろん◆技師に悪意などもたないが、はだけた胸にマジックで線引きされるというのは……

まな板の鯉。

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

◆技師と目を合わせないようにするだけだった。ちなみに、このマーキングは帰宅後も取れないように心がけるべし、とのこと。(入浴は可)

実際の放射線照射(治療)は15分くらいらしいが、オリエンテーション1時間ほどかかった。放射線がなるべく問題のない部位に照射されないよう、細心の注意を払うためだろう。

 

それが終わると、◎看護師と廊下に出てベンチで説明を聞いたり治療のスケジュールを組む。治療は土日・祝日を除く連日、930日まで続く。時間は午前は病院が混むので午後120分。医師の診察は週1回水曜。

「あ、きたきた~」と私を迎えてくれた◎看護師は、40くらいで間違いなく私より若い。

放射線治療室の寝台の上、上半身裸の私は寒くて震えそうだった。寒いけれど、私が寒いことなどスタッフにはわかりきったことだから、黙って耐えた。マーキングしているのだからタオルをかけるわけにもいかない。◆技師も何も言わない。

すると◎看護師が、「寒いですね」と優しい声をかけてくれた。「寒いです」と答える。タオルでなくても、声をかけられるだけで温かくなるのだと思った。優しい人だ。

コロナに感染すると治療は中止になるため、感染にはくれぐれも注意するよう言われる。

 

(〇病院は自宅から徒歩だった)★病院は電車に乗るが自宅から30分あれば着く。通りは賑やかで個性的な店が目立つ。午後には治療を終えて病院を出るから、散歩するのに楽しそうだ。

これからどんな冒険があるのだろう???

(#^.^#)(*'▽')( ^^) _旦~~(^0_0^)(^_-)-☆(#^.^#)(*'▽')( ^^) _旦~~(^0_0^)(^_-)-☆