「がん」という冒険(61)
そういうわけで連日、放射線治療に通っている。
これは毎日、少しずつ放射線を当てることで、がん細胞にダメージを与えていき、その積み重ねによってがんが縮小・消失するというもの。よって、指示通りの回数とスケジュール通りに治療を行うことがとても重要である。
ここで熱心な読者(果たしているのか?)は、手術を終えて退院した私は、
がんが消えている。
と担当医から診断を受けたはずではないか、と思われるだろう。
簡単に説明すると、細胞レベルのがんが病巣に成長するには10年ほどの時間を要するらしく、そのうえ細胞レベルのものを手術で切除するのは不可能。私の場合、手術前に細胞レベルのものがCTで認められ、がんの再発リスクを下げる以外に、(細胞レベルのものの)転移のリスクを下げる目的もあるらしい。
というのが私の解釈なのだが正確さにおいて責任はもてないので、念のため<m(__)m>
私のような場合、放射線治療を受けない人もいるらしいし、私が積極的に放射線治療を選択したわけではない。がんの治療は高額医療保険の適用になるくらいお金もかかる。またどんな副作用があるのか、公(おおやけ)にされていない部分もあるかもしれない。
術後の抗がん剤も放射線も、がんの「再発」や「転移」を予防する目的だが、100%予防できるわけではない。
再発や転移のリスクを下げる。
だけである。どうすればいいのか考えてもわからない。祈って、がんの「再発」や「転移」はやはり怖いから、どうのこうの言わず、素直に治療を受けることにしたまでである。
初めて放射線治療に来院した日、
「あ、きたきた~」
と迎えてくれた◎看護師との出会い、これがイエス様の導きなのだと、すっかり安心できたわけである。
上半身裸になり、タオルで前を隠して寝台に横たわるのだが、タオルはすぐにはがされ、肌のマーキングと放射線の位置を合わせる。
前回、私の苦手な肉食系男子技師◆が放射線治療のオリエンテーションのスタッフにおられたことを述べた。次には別の男性技師が認められ、◆技師がいなくなったかと思ったら、おられた。
(男性技師が)1人から2人に増えた。
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
1人でも2人でも……、もはや私はまな板の鯉。
肉食系男子は苦手だが、
好みの草食系男子がいたら、どうするのだろう???
と寝台の上で急に思う。
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(一一")(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
それを機に、何も考えなくなった。
スタッフ全員が男性でないなら、いいじゃないか。
そうなりませんようにと祈る。
今のところ、「スタッフ全員が男」というシチュエーションは免れているし、女性技師は皆、笑顔で声も優しい。肌のマーキングと放射線の位置を合わせるとタオルをかけてもらえるし、照射時間も15分くらいになった。
放射線は目に見えず、皮膚に照射されても何も感じない。体を通り抜けるので体内に蓄積されることもないらしい。
そうして、その足で着付けの教室に行く。
「覚えるまで習い放題」
というのは全くもってウソでなく、御年88歳の大先生が、
「今日、覚えたことは全部忘れていいですよ」
と帰り際に言われ、どれほど救われたかわからない。なかなかに言える言葉ではない。大した人物である。
また、大先生には、
「どんな人でもできるようになります」
これは、励みにもなったが、複雑な心境にもなった(一一")
前にも書いたが、私が帯結びをしている間、大先生の娘の◇先生はスマホで猫動画を見ている。じーっと私の手先を見ていたのでは、私も◇先生もやりきれない。
何度も思うことだが、ここ以外の教室では、私が着付けを習得するのはムリだろう。そして、稽古の後には必ず「お茶を飲みましょう」と、美味しい日本茶を煎れてくださるのである。
(#^.^#)(*^^)v( ^^) _旦~~(^0_0^)(#^.^#)(*^^)v( ^^) _旦~~(^0_0^)
ストレスにならず、また着物に対する興味や好奇心も沸いてきた。実家の和ダンスにどんな着物が眠っているのか、楽しみになってきたのには自分でも驚いた。
フリータイム制で生徒どうしが一緒になることもあるが、気軽におしゃべりできる雰囲気で家族的である。そうして…
娘のαが一緒に習うようになり、今、若い人向けの飾り帯を大先生に習っている。(この教室では、最初に帯結びから習う)大先生は結構厳しくて、びしびし言うのだが、αがそれに言い返しているのに安心する。懐かしい昭和の風景を感じる。
お稽古の帰りに、買い物したりかき氷を食べたり…(*^^)v
双子の妹、(◇先生に10キロ減量を命じられた)βの方は、寮でダイエットに励んでいる。がんばれ!