「がん」という冒険(22)

春一番が吹いたか~と思ったら、いきなり真冬の寒さになった。

冷たい雨が降り、雪も降った。

今日、6回目(全8回)の抗がん剤治療に出かけた。

天気予報は曇りだったが、気持ちよく晴れていた。

去年の11月から十数回?になるだろうか、病院へ行く日は、いつも気持ちよく晴れている。それだけでも気持ちが楽になる。

 

抗がん剤治療は、数日前から緊張する。朝は早いが、病院は家から近いし、治療に痛みもストレスもない。信頼できる女医先生と医療スタッフの人達は総じて明るく、優しい。(夫や娘達とは違い)ねぎらってくれる。

どうして緊張するのだろう、と思っていたが、理由がわかった。

抗がん剤治療がゴールへと近づき、「入院・手術」がリアルに近づくからだ。

今まで、ほとんどネットなどでがんについて調べなかった。

情報に左右されたくなかったし、情報がありすぎて、それだけで疲れてしまう。

へたに知恵をつけて、女医先生にバカな質問をして困らせることもしたくなかった。(ただでさえ、ストレスフルな仕事である)

必要な情報は、ドクターから聞かされるだろう。

それだけ、このドクターを信頼できたということである。

過去のブログを見たら、(がんの治療について色々な情報があるが)私が

「先生を信頼します」

と言ったら、ドクターは、

「信頼してください」

と言われた、とあった。(「がん」という鍵(4))

どうして、何が、私を、初対面にも近い女医を「信頼」させたのか…?

もちろん印象や対応、言葉の選び方…はある。しかし、決定的な理由はひとつ。初診の時に待合室で、担当医が男性医師かもしれないと思った時に、やっぱり女医がいいなぁ、と思いながら、

主が最善の医師を与えてくださる。主が選んでくださった最善の医師なら、男性でも女性でも関係ない。

祈りのなかで思うことができた。そして出会ったのが、よしみドクターだった。

 

先に私は、「ほとんどネットなどでがんについて調べなかった」と述べたが、そればかりか、

よしみドクターから渡された、乳がん抗がん剤についての冊子なども、ろくに読んでいなかった。(読んでも理解していない。理解できない???)

ということに、前夜、気づいたのである。我ながら、ひどい。

そうして、抗がん剤治療も終盤にきて、ようやく冊子を読んで、

理解できるところもあり、我が身の深刻さを多少、認識したわけである。

毛髪が抜ける以外の副作用はみられず、ウィッグをつけて以前と変わらぬ生活をしていた。それができたし、落ち込むどころか元気でいられた。がんを内緒にしている人達に、実はがんでした、とカミングアウトした時を想像して、楽しむことができた。ブログを喜んで更新できた。それは今も、感謝しかない。

 

今日、血液検査、超音波検査を終えた私は、よしみドクターの診察を受けた。ここで私は、超音波検査から、

「腫瘍(がん)がとても小さくなっています」

という結果を聞いた。その声が弾んでいる。ドクターの処方した抗がん剤でめざましい結果が出たのだから、ドクターも嬉しいに違いない。しかし、私は同じトーンで喜ぶことはできなかった。この結果に喜ぶことはできても、この超音波検査の結果が、すべてではない。

 

「部分切除の場合、手術後に放射線療法を行うことになります」

部分切除とは、がんを含む乳腺組織を部分的に切除する手術で、乳房の膨らみは保たれる。今日の結果から、私の手術は「部分切除=乳房温存」の可能性が高いということかもしれない。一方、がんが乳房内に広範囲に広がっている場合や複数のがんが乳房内の離れた場所にあるなどの場合には、乳房切除術(全摘)となる。この場合、乳房の膨らみは保てないが、乳房の再建手術を行うことで形を整えることが可能。

以前、私の手術が「部分切除」か「乳房切除(全摘)」になるか、経過をみながら考えていきましょう、ということだったから、今日の超音波検査で

部分切除>乳房切除

ということになったのかもしれない。

私は再建手術について聞いてみた。ドクターは「乳房切除(全摘)」の写真を見せてくれた。それは、片方の乳房がなくなって、乳首もなくなり真っ平だった。これに、ニセの乳房をつける、あるいは、再建手術を行うという選択がある。私はそれぞれのリスクについて聞いてみた。ニセ乳房は簡単だったが再建手術は色々あるようで、改めて時間を取ってもらうことになった。

今のところ、部分切除>乳房切除 しかし、どうなるかわからない。

また、

術後の再発、転移…?

春一番が吹いたか~と思ったら、いきなり真冬の寒さになった。そのようなことは、いくらでもある。

すべて、心の準備をして、イエス様の御手から受け取れることを祈るしかない。