「がん」という冒険(48)
「別荘から帰ってまいりました」
金曜祈り会である。姉妹方の視線を集めた私は、照れ隠しのようにこう言った。東映ヤクザ映画で刑務所から出所した高倉健が言っていた。刑務所を警察用語で「別荘」と言うらしい。
先週の金曜、手術のために入院するのを「行ってきます」「行ってらっしゃい」――と見送られた。そうして3泊4日で退院し、こうして翌週の祈り会に顔を出したのだから、やはり姉妹方は驚かれる。
大丈夫?
大丈夫。どれくらい大丈夫かといえば、
逃げるように退院するくらい大丈夫。
だったのである。
お世話になった病院だし悪口は言いたくないが、自宅から徒歩15分の病院なのに、まるで、
島流しにあった。
ようだった。(コンビニなし。カフェ(喫茶)なし。売店1件。病院食は老人食。男女共同トイレ)
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
娑婆に帰りたい。
そうして娑婆に帰り、祈り会に出たのである。
使用前使用後…というのがあるが、私の場合は、
手術前手術後。
である。手術前、私は元気だったし、手術後も元気な顔を見せることができた。今や、がんは他人事ではない。祈り会の姉妹も、がん治療を終えた人もいるし、がんで家族を亡くされた人もいる。私が元気で明るいことには、「励まされる」らしい。
手術前夜に「祈りに包まれて眠る幸せ」を感じた。
ことは、私の一生の財産だと思う。この日も得意気に語ったし、これからも語っていきたい。
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