「がん」という冒険(31)
がんの宣告から5か月、抗がん剤治療を内緒にして金曜祈り会に出ていた私は、私ががんなどとは夢にも思わない姉妹方を見ながら、
いつカミングアウトするか?
想像してはワクワクしていた。12月、突然ウィッグで髪型の変わった私を、皆(ウィッグと気づかず)ほめてくれたし、「カツラみたい」と言われてドキッとしたこともあったが、(カツラなんだから仕方ない)それ以上の突っ込みはなかった。総じて、評判はよかったのである。
それが、8回にわたる抗がん剤治療も最後の1回を残すのみとなり、入院・手術の予定も見えてきて現実的になってくると、
カミングアウトするの?
という迷いが生じている。
イエス様を救い主と信じる者たちが集まって祈る、祈り会。何について祈るのか、祈ってもらいたいか…それを私たちは「祈りの課題」と呼び、発表する。
2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死ぬ…らしい。
というわけで、この祈り会でも毎回のようにがん患者が祈りの課題にのぼるし、経過報告もある。訃報もある。
そうしてこの日は、4年前に大腸がんの手術をした◎姉妹(70代)が腰痛で、術後に受ける半年ごとの検査を「体調がいいので」このところパスしていたという。(がん再発の可能性?)◎姉妹は子どものような人でいたって呑気。他の姉妹から「大丈夫とは思うけど、念のためにも検査を受けた方がいいと思う」とアドバイスされていた。
それからにわかに話題ががんに集約され、がんを患った人たちの名前が挙がる。異常な多さである。
思ったことをはっきり言う、私のウィッグを(髪型を変えただけだと思っている)「幸せそう」と言ってくれた◆姉妹が、
「みんな『がん』」
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
爆弾発言にドキリとなる。
「昔はがんも老衰にされてたしね」
と別の姉妹。確かに近藤誠は著書でそう言っていた。
2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死ぬ…らしい。
と聞けば、「がん=死」というイメージで怖ろしい。
しかし、
がんにかからなければ人は死なないのか?
と思う。さすがに若くしてがんで死ぬのは無念だと思うが、そうはいない。「2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死ぬ」は高齢化社会を指しているのであり、現役世代ではそれほどの割合にはならない。
死なない人間はおらず、色々な死に方があるのだとすれば、
がんという死に方もあり。
ではないかと思うようになった。私が近々受ける手術では、(医師からもきちんと治療すれば完治すると言われたし)死を意識してはいないが、再発や転移のリスクはつきまとう。
WITH がん
の人生だし、それでいいと思うようになった。
10年ほど前になるだろうか、近所のかかりつけ医が、
「俺の父親はがんで死んだけど、俺もがんで死ぬのでいいと思うよ。寝たきりやヨイヨイ…になるより、よっぽどいい」
全く、その通りだと思う。
カミングアウトするのは、手術前?後?
と思っていたけれど…
手術前……
到底ムリな気がする。私も◎姉妹に負けず劣らず呑気なのだろう。自分でも、ウィッグつけて笑って祈り会に通えるとは思っていなかった。
実は乳がんでした。
半年間だまされた挙句、告白された姉妹方は、
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
どうして(がんのことを)黙っていたのか、説明するのも面倒である。
入院は5日程度らしいし、退院後には以前と同じように生活する方がいいらしいから、長期に祈り会を休むことはないかもしれない。それで、
実は、乳がんで手術受けてきました~(^O^)/
果たして、「おめでとう!(^^)!」と言ってもらえるのだろうか???
\(゜ロ\)(/ロ゜)/(-_-)/~~~ピシー!ピシー!\(゜ロ\)(/ロ゜)/
落ち着いて考えると、どちらも、いたずらに姉妹方を驚愕させ動揺させ、混乱させる気がする。
無理にカミングアウトする必要はないのではないか?