「がん」という冒険(11)

カーブスで筋トレを始める前、検温してからコーチに聞かれる。

「体調どうですか?」

それまでは、「大丈夫です」「良好です」「順調です」などと言った。

がんになってから、なぜか聞かれないことが続き、何と答えようかと考えていた。

抗がん剤治療受けながら、ウィッグつけてマシン動かしてる私は……

(元気なつもりでも)元気ではないの???

そうしてある日、それまで通り「体調は?」と聞かれて、私は、

「絶好調です!」

と元気に言った。言ってみると、本当に絶好調なのだと感じる。

よく眠れるし、食事も美味しい。ライターの仕事はコロナでなくなり、その分、マメに家事をやりお菓子まで作る。気持ちよく過ごせるよう家の中も整えている。DVDやネットフリックスで映画も楽しむ。小説も読む。また、このブログも頻繁に更新するようになった。

「絶好調」と口にしてみると、テンションが上がり気分が更によくなる。もともと、寝つきも悪ければ眠りも浅く、去年など1時間ごとに目が覚めていた。

抗がん剤治療のことを知っている人からは心配されるのだが、心配されるのが申し訳ないほど、私は以前より元気なのである。

ただ……髪はなくなった。99%から99・5%くらいなくなった。

 

毎週金曜の祈り会に今日も行く。

前にも書いたが、それまではちょくちょくさぼっていたのが、こうなってからは、

いつ行けなくなるかもしれない。

と思うために、行けることに感謝して行くのである。

祈り会とは、イエス・キリストを万物の創造主であり、自分の主として信頼するクリスチャンが集まって、ともに祈るのである。メンバーはだいたい決まっているが、参加は自由で出席もとらない。誰も来ない、一人しか来ない…ことがあっても不思議ではないのだが、そういうことは私の知る限りではない。

そうして、今日もウィッグを装着して祈り会に行く。

実は、髪がほぼなくなってみると、ウィッグが帽子をかぶっているような状態になり、微妙にずれて、いかにも、

カツラつけてます。

という具合になることがある。鏡を見なければ自分ではわからない。これを他人に見られたら…?

ウィッグだとばれるのは時間の問題?

と最近、思うようになった。その場合の対応として、

①「ウィッグを試したくなって…(^^)」

②「実は…後頭部にハゲができて…( ;∀;)」

③「(ヌケヌケと)実は…抗がん剤治療を受けてて、その副作用で…」「また~(*'▽')」「(不敵な笑い)」

そしてこの日、パーマをかけたらしい姉妹(=女性信者)に気づき、

「パーマかけた?」

聞けば、私(クセ毛→ストレート)とは逆に、直毛をくるくるにしたらしい。そして、

「ホントに、今の髪型いいね」

と私のヘアをほめてくれた。前回、はっきりモノを言う姉妹から「すっごくいい(^_-)-☆」と評された続きのようである。そうして、

「カツラみたい」

「\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?」

「いつまでもつの?」

ストレートパーマの場合、そのうち新しい毛が生えてくるし、いつまでもストレート状態が続くわけではない。でも、これは…ウィッグだから、

いつまでも変わらない。

いつまでも、同じ長さと形ではおかしいかもしれない…などと思う。

ともかく…。

限りなくハゲに近い頭となり、何をする気力も失せてしまうかもしれないと思ったが、どうということもない。迷うことなく祈り会に通っている。ただ、

ハゲになった。

だけである。

それで人前に出ろ、というわけではないし、治療が終われば生えてくる。

およそ、ハゲてみなくては考えないことを、色々考え、味わった。貴重な経験だと言えなくもない。

ドライヤーで髪を乾かすのに2分で足りる。