「がん」という冒険(12)

年賀状に、ごく親しい相手には、「ブログに近況更新してるので、見ていただければ嬉しいです」と書き、「ブログ見ました」と数人から返事をもらった。

その中にはがんになった人もいた。彼女とはしばらく音信が途絶えていたが、返事をもらい、元気なのだと確認できた。「冒険」という言い回しをほめてもらう。

私が知らないだけで、中にはがんになっているかもしれない人がいてもおかしくない。

そういう人達への思いもこめて、ブログを更新していきたいと思う。

 

電話をくれた人もいた。

去年の7月までしていたウェブの仕事のデスクで、電話に出るなり「もしもし」ではなく、彼女の聞き慣れた笑い声が聞こえてきて嬉しくなった。がんになった私に、無理に笑っているわけではない。ブログを通して、私の息づかいのようなものが伝わったのかと思う。

彼女も親しい人を乳がんで亡くしている。「どうやって気づいたの?」に始まって、乳がん談義が始まった。「(私が)初期でよかった」と何度も言われ、心配されていた気持ちが伝わった。私は私で、多忙で喫煙者でもある彼女を案じていた。毎年、人間ドックに入ってチェックしているから心配なしと聞いて安堵した。

昨年、コロナによって突然、幕を下ろすことになった仕事だが、今年、新たにスタートするかもしれない。

「私は、以前と変わらず、仕事したい思いはあるんですが、使う方は嫌じゃないですか?」

がんの患者と仕事したくもなかろう…。ところが、

「全然…。がんなんて、いつ誰がなってもおかしくないわよ」

確かにそうだ。風邪もひかない私ががんになったのである。がんはもう、他人事ではない。

乳がんが、元デスクとの接点になった。今年、デスクとのお付き合いが再スタートすれば嬉しい。