卒業式 (1)

双子の娘達の高校卒業式が同じ週にあった。

コロナ禍でどうなることかと案じたが、どちらも、

参列は一家庭に一人の出席(母親か父親、両方はダメ)。

で、どちらも私が参列した。

双子の姉α(私立高校)、妹のβ(公立高校)で比較してみた。

まずαのY高校、事前に、

生徒ととの写真撮影NG。

卒業式後の教師との挨拶NG。

とのおふれ。

式が終わったら、とっとと帰れ、ということらしい。

卒業生413名、参列者は3チームに分けられ時間帯別に式場に着く。

当日の体調をチェックする用紙を式場受付に提出する。(受付でも検温)

体育館は当然、ソーシャルディスタンスでパイプ椅子が並び、決まった椅子に着席。

担任教諭を先頭に卒業生が入場し……

以下、特筆すべきことなく時間は過ぎ、

卒業生退場。

すると、最後の最後、学年主任教諭(60代?男性)から挨拶があった。

この方、昨年のズームでの学年集会だったか、涙ながらに語られた。

コロナのなか、唐突に学校が閉鎖され授業がなくなり、学校行事がなくなり、部活がなくなり、予定していた試合や発表の場もなくなり……

心を病む生徒が現れても当然

と……。

なるほど、確かにそうだ。私の娘達は、「学校へ行かなくていい=毎日が日曜日」というふうだったが、健全なお子様方はそうはいくまい。

ただでさえ多感な年ごろ。受験への不安、最終学年、友達にも会いたかろう。

そんな気持ちをすくいとり、涙ながらに語られた主任教諭であった。

そうして、この日も、主任教諭は泣かれた。

マスクしたまま、泣くに泣かれた。

何を言われてるのか、聞こえはしたが、記憶には残らない。

こんな先生、いるのかぁ……。(ここまで泣くのは、ギャグめいてもいた)

ただ、最後の言葉だけは、胸にしみた。

「3年前、お預かりした413名の夢と希望と期待を……今日、ここにお返しいたします」

こんな先生のおられる学校だったのだ、と思う。