神頼み(3)
双子の姉、αの大学合格は、
なし
だと、私は確信していた。滑り止めは受験せず、本命▲大学を含め、3大学を受験。
模試の合格判定はDかEしかなかったと思う。(積極的に見なかった)
にもかかわらず、αは焦る気配も見せず、毎日午後まで眠り、何をしているのかよくわからなかった。
「何してるの?」
と聞けば、よく
「単語」
と言った。入試間際になって「単語」とは……。
私の記憶では、そもそも単語とは、通学の電車の中とか待ち時間、隙間時間にやるもので、「単語」だけを何時間もやる、というのは?だった。
とはいえ、向こうには向こうの流儀があるらしいし、口出ししても仕方ない。
そもそも、
必死さがない。
去年の秋、「大学行きたいの?」と素朴な質問をしたら、
「行ってもいいし、行かなくてもいい…」
と答えられ、椅子から滑り落ちそうになった。
そう、それが本心なのだろう。
受験勉強にモチベーションがわかないのも無理はない。
考えると頭がおかしくなりそうなので、考えるのをやめた。
これで受かったら楽でええなぁ……
というところである。というより、
これで受かる大学て、どういう大学や???
双子の妹βの方は、αよりは少し脈があった。
模試の判定もAをもらうこともあり、
ちゃんとした仕事に就くために大学に行きたいらしい。
初発表の日、同じ大学の発表で、αは「ダメ」と確信していたが、βは「何とかなるだろう」と思っていた。
すると……
αー合格
βー追加(補欠)合格候補(合否は3月下旬までわからない)
という、まさかまさかの結果であった。
αの不合格を「確信」していた私だったが、α自身が予期せぬ合格、まして、妹は「追加合格候補」。妹βにコンプレックスをもっていたαは、
完全合格(妹βは「不完全合格」)
と得意満面。
対してβは悔しがる気配もなく、平然としている。(不合格じゃないし…)
αの合格は、
ありえない
ものだった。αが担任に合格の報告をしたら、担任は、
「えええ~~~!!!」
担任がこんなにびっくりしてええの???
という反応であった。
αのスマホに送信された「合格通知」を見るまで、信じられなかった。
「合格通知」を見ても、キツネにつままれた気分だった。
「完全合格」したαは妙に素直で、一皮むけたような、余裕があった。
私自身が、αを色眼鏡で見ていたのかもしれないと思った。
これは、
主がαを憐(あわれ)んでくださり、導いてくださったのだ、と思う。
主が生きて働いてくださったのを実感した。