Carvesに通う(3)

思った以上に、はまっている。

ジャージにダウンを羽織って、出かける。

「レイコさん、こんにちは~」

若いコーチ(と呼ぶらしい)が声をかけてくれる。

ここでは、名字ではなく名前で呼ばれる。

私たちは名札をつけているわけではないから、コーチは名前を覚えねばならないらしい。

予約も入れないし、入れ替わり立ち替わり…出入りするから、結構大変ではなかろうか?

5年通ったYMCAのフリースイミングを解約して、Carvesに入会した。

真冬にプールというのも、なかなかに気乗りしなくなっていたこともあった。

で、Carvesに通い出してみると、

プールだと、着いてから、

水着に着替えて

シャワーを浴びて

準備体操して

泳ぐ。4種目で500メートル泳いでいた。泳いでから、

シャワーを浴びて

服に着替えて

帰る。

という、実に手間のかかることをしていたのだなぁ、と思う。

今は、ダウンを脱いで外履きを上履きに履き替えるだけである。

12台のマシーンの使い方もマスターしたし、巡回するコーチがアドバイス

してくれる。

通い出してひと月も経っていないのに、いやに順応している。

音楽にのってマシーンを動かすのが気持ちいいのである。

周囲を見る余裕も出てくる。

今日は…「困ったさん」を見つけてしまった。

おそらく70代、以前から見かけていたが、「困ったさん」だとは知らなかった。

以前、「お嬢さん」と呼ばれたことがあった。

悪い気はしないし、深く考えもせずにやり過ごしたが、今日は、

「会社の帰り?」

とマシーンやりながら話しかけられた。私が財布やスマホを入れているウエストポーチに、何が入っているのかと聞くのだ。

どうでもいい話である。トレーニング中であるし、「私語厳禁」というわけではないが、「大きな声でのおしゃべりはやめましょう」と壁に貼ってある。

「困ったさん」の声は大きい。私は適当にやり過ごした。

と…、「困ったさん」は、顔見知りらしい相手と話し出した。

(顔見知りを浜子さん(仮称)としよう)

2人のやり取りを聞くともなく聞いていると、(声が大きいので耳につく)なんと、浜子さんの母親は105歳だという。

「もう、すごいわよ。今日一日で医者が二人」(浜子さん)

「105歳って明治生まれ?」(困ったさん)

「ううん、大正13年。…100歳後半でも大正よ」(浜子さん)

…平成生まれのコーチは、注意もできないだろう。

そしてこの、浜子さん…髪は豊かな黒髪(染めてるのかはわからない)だし、よぼよぼではない。

でも…母親が105歳というからには何歳だろうと思う。

「困ったさん」と違って、真面目にトレーニングしている。

「困ったさん」は、マシーン動かしながら「疲れた」…。

コーチにも愚痴や文句ばかり言っている。

7~8分毎に脈拍とるのだが、取らない。

コーチが脈拍数を聞いて回るのだが、「(脈拍)ない」とか言う。

ルール無用…である。

マシーントレーニングの後はストレッチするのだが、それも無視。

マシーン終えてストレッチしようとする浜子さんが、

「最近、猫背で…」

と言うと、

「それは猫背ではなくて、腰が曲がってるのよ」

(一一")(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

「困ったさん」は認知ではないらしい。