「がん」という冒険(79)

8回にわたる術前の抗がん剤治療は、去年の12月1日に始まった。

当然、髪はまだ抜けていない。

とくに抗がん剤に対する不安や恐れはなく、言ってみればまっ白( ^^) な状態であり、色々な説明を受けたものの、治療を受けてからの具合の悪さもなかった。ただ、治療当日から飲む薬、翌日から飲む薬、飲むタイミングも量(一度に8錠飲む薬もあった)や回数も違う薬を飲み続ける「薬漬け」の日々であった。

 

抗がん剤治療など問題にならないほど大変だったのが、αの受験勉強だった。予備校には行かず、家庭教師をつけての宅浪。その家庭教師が実に、問題な人であった。

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

娘達が高3の時にお世話になった◇家庭教師は、誠に非の打ちどころのない人物だった。

・国立大学の大学院生。

・優秀、誠実、忍耐強く、とても大人。

大谷翔平似のイケメン。

娘達の成績がぐんぐん上がることはなかったが、2人とも合格できた。(βはともかく、αが合格できたのは奇跡だった)

が、入学手続きのミスでαは浪人することになった。(入学金を指定の期日に振り込まなかった)引きつづき、同じ家庭教師派遣センターに家庭教師をお願いした。そして、我が家に迎えることになったのは、

49歳、女性。

経験豊富なベテランなら、αにとっても同世代より向いてると思ったし、私の相談にものってもらえるかもしれないと思った。しかーし、●先生はとても不思議なキャラクターで、私は翻弄された。

・時間(約束)を守らない。(平気で2時間遅れてくる)

・Lineのスタンプ大好き。(真面目なやり取りにも無用に使う)

・ハイヒールに化粧濃い。勉強中にも化粧直ししているらしい。

それでも、受験のプロとして裏技や手腕を発揮してくれるなら、大抵のことには目をつぶる。なにせ、49歳である。しかーし、

・「結果が楽しみ(*^^)」と言われた模試の結果は散々で、逆にαが落ち込んだ。

・家庭教師のプロかと思えば今は塾(高校受験)の講師をやっているだけで、そちらが優先されている。

・●先生がαに指導するのは、なぜか世界史だけ。

私が派遣センターに相談しなかったのは、

●先生が主に祈って我が家に迎えることになった人だから。

それは、●先生が主が選ばれた最善の家庭教師ということだから、祈って待った。

何よりも、

αが●先生を好きで、続けたいと言った。

αの気持ちが最優先だった。

 

派遣センターに相談したのは、私ががんの検査を受けた11月2日である。●先生だけでは間に合わない。というより、このままでは

目隠しをして横断歩道(受験)を渡らせられる心境。

(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

幸い、電話だけで話はスルスルと進み、現役の早大生が新たに家庭教師として加わることとなった。時期も時期、zoomのみでの指導ということで、引き受けてもらえた。

★君の勉強がスタートしたのは11月13日。最初の大谷翔平似の◇家庭教師と●先生は、何から何まで正反対だったが、この★君と●先生も全く何から何まで対局にあった。

よって、●先生の欠落箇所を★君が鮮やかに埋めてくれたのである。

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12月に入ると、●先生は塾の方が忙しくなり、αの指導は帰宅後の夜10~12時ということにもなり、さすがにめちゃくちゃである。そうして、★君から●先生に対する苦情めいたものが出た。

それまで、αは●先生から世界史しか教わっていないのに、一番自信ないのが「世界史」らしい。また、今の●先生のペースでは、世界史は入試に間に合わない。

また、α自身が●先生の指導に疑問をもち始めているという。

全く、急展開である。αも★君の指導を受けながら、●先生との違いに、このままではダメだと目が覚めたらしい。成長である。私としては胸のすく思いであった。

千葉在住の★君はzoomのみでの指導だったが、●先生は市内在住でずっとzoomだったが、24日にここへ来るという。サンタクロースでもあるまいし、わざわざクリスマスイブに来るというのも何を考えているのだろうと思った。独身だし、ケーキくらいにはありつく気なのかとも思ってしまった。もはや、人間的にも信頼できなくなっていた。

そうして、αが●先生に見切りをつけたことで派遣センターに電話し、12月19日、●先生を断ることになった。

★君は大学受験予備校の講師もしていて、貯めたお金で語学留学を予定している。そのため正月返上で働いていた。見上げた学生である。αと年齢的には一つしか違わないが、いい刺激になったのではないかと思う。

★君がいなければ、一体どうなっていただろう。また、結局、αは受験に世界史を選択しなかった。●先生については、考え出すと不信感以上に怒りさえこみ上げる。

ただ、なぜ、主は●先生を我が家に派遣されたのか?

その目的を考えた。

(つづく)