桂先生の誕生会(1)

去る9月2日、東横線学芸大学駅にある店で、桂先生の誕生会が開かれた。
先生宅に出入りする内々だけの祝いである。

先生宅でDVD上映会やったり、先生にシナリオ読んでもらったり…する面々が集まった。
桂千穂先生……今年8月27日で89歳になられた。
私は人の集まるところはどうも苦手で、月1回レベルで開催される桂邸DVD上映会にも参加したことがない。
もっとも、上映会は日曜に行われるので、礼拝に出るために行けなかったとも言える。
(「行かなくてよい」と言う、主の導きと解釈した)今年はお誕生日の前日、26日に先生を伺って「おめでとうございます」と言ったので、それでいいかと思っていたら、幹事からお誘いがかかった。
11時半スタートというから、10時半から始まる礼拝には当然、行けない。そして、今回は礼拝を休み、先生のお誕生会に行くことになった。
そのように導かれた。
掛札昌裕という、B級映画を書きまくった脚本家がいる。
B級映画というと聞こえが悪いかもしれないが、映画賞に輝くような正統派路線ではないという意味である。
それがどんだけ凄いかというと、こんだけ凄い。
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=115320
1960年、慶応大学法学部を出て東映に入社。京都撮影所助監督となり、1970年にフリー。という経歴なら、いくらでもA級路線を目指せたはずのなのに、王道には全く関心がなかったようなのである。それを、桂先生も面白がられていた。「温泉こんにゃく芸者」「東京ふんどし芸者」「奴隷契約書 鞭とハイヒール」など…ためらいもなく書かれていたようである。
ちなみに、桂先生によると、慶応のボクシング部の部長を務め、奥様は女優とか。
この掛札さん、桂邸DVD上映会のメンバーで、誕生会の席にもおられ、私は奇しくもその隣に座ることになった。

実は私、桂先生からDVDを借りて見た「徳川セックス禁止令 色情大名」に大感激し、特に、その脚本の神業に、
「この人、天才や」
と感服したのが掛札昌裕だったのである。
それは良いとして、私は、掛札氏に会ったら、是非とも聞いてみたいことがあった。それをこの日、聞くことができた。
鈴木則文監督って、クリスチャンなんですか?」

鈴木則文と言えば、菅原文太主演「トラック野郎」などで有名な映画監督である。2014年に亡くなり、新聞の訃報欄に教会で葬儀が行われたとあり、あっ、と驚いたのである。
「トラック野郎」もそうだが、鈴木則文と組むことの多かった掛札氏に聞いたところ、
「そう、クリスチャン」
とあっさり…。

「それは…『聖獣学園』の前ですか、後ですか?」
「聖獣学園」というのは、1974年に公開された、多岐川裕美のデビューでもあり主演でもある教会を舞台にしたエロティック映画である。
多岐川裕美をスカウトしたのは鈴木監督で、多岐川裕美はデビューながら大胆な裸体を披露している。
脚本は掛札氏である。仮にもキリスト者なら、こんな映画はつくれまい。
そして、掛札氏の答えは…。

          つづく