病院巡り(1)

風邪ひかなくて、頭痛や腰痛もなく…最後に入院したのは、15年前、双子出産のための管理入院だった。
最後に手術したのは、双子主産のための帝王切開で…
思えば、入院、手術というのを経験したのは…
出産が初めて……???
一体、人生の中で「手術」も「入院」もしたことがない…という人は、どれくらいの確率なのだろう?
病気や怪我……できれば避けて通りたいものだと思っていたが、
病気や怪我(=試練)から学ぶことは沢山ある…
と思うようになった。
健康(元気)があたりまえ…「あたりまえ」から学ぶことは、おそらく、ない。
病気や怪我になるから、元気になりたいと思うし、回復する喜びがある。
小さなことにも感謝できるのではないだろうか?そんな私がこの度、実家の裏庭で転倒して、病院5軒を回るという経験をした。
人生で初めての経験であるし、貴重な経験として、記すことにした。
身内が亡くなり、実家に帰った私は、その夜中、兄弟と飲んでいて、ゴミを出すのに裏庭に出て、そこで転倒した。
家の中に戻ると、兄が「どうしたんや?」――私の顎が割れていると言う。痛みもさほどは感じなかったけれど、「顔のことやし、病院行け」と言われ、心配してくれる兄の気持ちも嬉しかったので、明けて翌日、近場の整形外科に行った。(健康保険証なし)
夕方には「通夜」を控えており、「近い」というだけで選んだ整形外科…。
待ってる患者なし…。
医師に症状を説明して、シートの上に顎を乗せるだけの簡単なレントゲン検査では「骨に異常はナシ」…。
「顔のことなので、兄が心配して…」
と言ったら、
「顔を使う仕事でもしてるの?」
「………」
「一応、嫁には行きましたので(嫁入り前ではない)…」と戸惑いながら…。
医師からは、跡も残らないし薬も処方されず、「(腫れてくるので)患部を冷やしておくように」と言われる。
医師から、「大したことはない」と言われたことで安心できたが…病院から帰宅して、カレーを食べようとしたら…スプーンが口に入らない。(口が開かない)
そう言えば、歯を磨こうと歯ブラシ口に入れようとしたら、痛くて泣きそうになった。
そんなこんなで通夜…
会席の食事ができない。
そんなこんなで葬儀…
開いた歯の隙間から、何とか食事をする。
顎の出血は止まり、腫れることもなく、じっとしてる分にはどこも痛まないけれど…ちょっと…只事ではない感じ…。
右耳が遠くなってることにも気づき、耳の穴に指を突っ込んだら、指に血がついている…(流れ出るほどではない)
通夜と葬儀を終えて、早々に新幹線に乗る。
が…木曜日。(休診)で、金曜日、「祈り会」の帰りに高血圧の薬など貰っている(馴染みの)医師のところへ行く。
街の名医だと思っている。
そこは……いつも混んでいて、私は待ち時間の間に(受付に断って)スーパーで夕食の買い物をした。「どうしたぁ?」
といつもの調子で聞かれ、事情を話すと、先生、私の顎を見て、
「俺だったら、縫ってるよ。顔だしさ…綺麗に治したいから」
「縫われる」のは好きではないが、ジーンとなる。
お互いもう、30歳くらい若ければ、私は間違いなく、恋に落ちていただろう。
「顔を使う仕事でもしてるの?」――とは大違いである。待合室が閑古鳥なのも頷けるというものである。
で、医師は傷口(が開かないように)にテーピングしてくれた。
で、耳のことを話すと、耳を覗いて…
「ちょっとこれは…俺の領域じゃない。耳鼻咽喉科……?この近所の榊原さんでもいいけど、大きな病院行った方がいいのかもしれない」
「\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?」
取り敢えず、(いい加減ではない、ちゃんとした)レントゲンを撮った。
そして…