「レイプ25時 暴姦」(2)

ガソリンスタンドで働く冴えない若い男が、ある夜、オカマ三人組に追われる赤ジャンの男と出会う。三人組から逃れて車で住宅街を走るうち、赤ジャンが窓辺に映る女の影を見て、車を降りたかと思うとひょいと家の塀に飛び移る。
あらら…。

マークも(家の)下見もないの?
家族はおそらくいるだろうし、女の影だけでは年齢もどんな顔かもわからない。

室内の女は若い美女で、バレエの衣装を着たマネキンが置かれていることから、バレリーナであることがわかる。(マネキンが柔道着着てたら面白いな)
電話が鳴って、「京都で公演」「白鳥の湖」「リハーサル」…などと会話してるところへ、
赤ジャン男が入って来る。ブラームスが流れている。たまたま入った家の女が、若い美人のバレリーナだなんて、現実にはそうそうない。滅多にない。
やっぱり映画である。
夜である。女は声を上げたり物投げたりしてるから、家族が誰か気づきそうなものだ。
とも思うのだが…それは野暮。
男がステレオのボリューム上げてブラームスが鳴り渡る。
ブラームスを防音に、女を襲う赤ジャン。
哀切なブラームスの調べは、白鳥の湖を踊るバレリーナを、無残に羽をむしられる白鳥のようにも思わせる。
男の腕には薔薇の筋彫り(色が入っていない)のような刺青があるが、それが女の上にまたがり犯しながら次第に赤く染まっていく。
次に若い男の番になるのだが…。
女は既に死人のよう。抵抗する力も残っていない。
若い男は欲情続かず…。
この映画、生きる張り合いも目標もなく生きてるような若い男が、赤ジャン男と知り合って、徐々に開拓されていくプロセスが丁寧に描かれる。
赤ジャン男は、正体不明男である。
何して食ってるんだか。(盗みはやる)あれだけ女好きならヒモでもやってそうなものだが、わからない。
ホモ三人組の正体も、追われてる理由もわからない。
車もない。(ガソリンスタンド男に店の車を足代わりにさせている)
登場人物に名前がない、犯行に計画性がないのも…監督の狙いなのだろう。
ただ、こんな正体不明の絶倫男にガソリンスタンド男が惹かれていく過程は、実にきちんと描かれる。
最初のバレリーナもそうだが、行きずりの水商売風の女二人に目をつけた赤ジャン。
無計画でマンションを襲う。

桂たまきと丘奈保美。
「暴行切り裂きジャックでしか「桂たまき」を知らなかった私は、この場の桂たまきの美しさに驚いた。
ニューフェイスですからね』と、桂先生に教えられた)
このシーンでは、赤ジャンが桂たまきを大の字にベッドに縛りつけ、桂たまきを満足させた挙句、ガソリンスタンド男の相方(丘奈保美)まで昇天させた。

桂たまきもそうだが、テレビで活躍する「岡本麗」も若く美しい。こちらはガソリンスタンドの上得意。ガソリンスタンド男が赤ジャンを誘い、店を襲った。ここでガソリンスタンドは岡本麗を犯し、(いつしか岡本麗が上になってる)帰りの車中で、
『これあげるから、また来て』って」
得意そうに赤ジャンに札びらを見せる。
ようやく一人前になったのね、というところか?と…ここで赤ジャンを執拗に追い掛け回すオカマ三人組が登場。赤ジャンは捕まり、ガソリンスタンド男の前で無残にやられる。
ヒーローが目の前で凋落するのである。