「大悪党」(1)

1968年、大映映画です。
監督は大好きな増村保造。にもかかわらず、この映画は未見で、
「あなた『大悪党』も見てないんですか!?」
桂先生にボロクソ言われ、DVDをお借りしました。
桂千穂著、「カルトムービー 本当に面白い日本映画1945→1980」からのセレクションです。
ファーストシーンはボーリング場。
学生らしい男女の別れ話から始まります。
「これ以上付き合っても何の発展もない」
「身体を許さないのが不満なの?」
女は「自分を安く売りたくない」と言います。
この女学生、芳子を演じるのが緑魔子
ご存知の方、どれくらいいらっしゃるでしょうか?
石橋蓮司夫人ですね。
当時、加賀まり子と人気を二分していたそうですが、日本人離れした小悪魔的風貌。
白いブラウスに紺か黒(白黒映像なので、どちらか不明)のセーターとスカートという地味な服装ながら、ハリウッド女優ばりの美貌です。
この二人、あっさり別れてしまい、一人になった芳子に男が声をかけます。
ナンパですね。
まぁ、これくらい綺麗なら、ナンパされるのも自然というものですが、この佐藤慶演じる安井…。
タチが悪いです。
この芳子、貞操観念強い割に自意識は強くないのか、自分の美しさに自覚もないのか…無防備です。
安井に誘われ、飲めないくせにバーに付き合うんですね。
本人としては、男と別れた寂しさがあるのでしょうか。
特性カクテル飲まされて…トイレに。
「上玉ですね」
「前から目をつけて狙ってた女だ」
バーテンと安井との怖ろしい会話です。
ここから、洋裁学校に通っていた芳子の人生は、絵に描いたような転落の一途をたどります。
足腰立たなくなった芳子は安井のマンションへ。
ここでタイトル、スタッフ、出演者のクレジット流れ…
ベッドで目が覚めた芳子…横には裸の男が寝ています。
自分を安売りしたくないと、付き合ってた男にも許さなかった貞操を、見も知らぬ男に許してしまったのですね。
身づくろいして慌てて出て行く芳子です。
手口はオーソドックスです。
部屋でミシン踏んでる芳子のところへ安井が訪れ、芳子の裸の写真を見せるんですね。
警察に訴える、という芳子に「警察がなんだ」と安井は言います。
芳子の父親は長野で高校の校長をしています。
芳子の通う名の知れた洋裁学校。
裸の写真をばらまけばどうなるか…?
芳子が写真をかき集めたところでネガがあるため、どうすることもできません。
「写真とネガを返して」
安井の言うことを聞けば、その願いを聞くと言います。
それは…。
売春。
さるアイドルの相手をすれば、写真とネガは返すと約束します。
そんな約束信じるのか…?と思うのですが、芳子は信じるんですね。
「本物のお嬢さんだ」「一晩3万でも高くない」
アイドルは芳子に満足するのですが…。
事が終わったところへ、再び安井登場です。
今度は、
アイドルと芳子の絡みを8ミリフィルムで隠し撮り。
約束通り、芳子の裸の写真とネガを返されても意味ありません。
「おまえはもう、俺の女」
緑魔子、ほとんど着衣する間もなく、パンツ一枚(おばさんパンツ)の監禁状態です。
安井はまた、アイドルの会社でフィルムを高く売りつけます。
会社は弁護士、得田(田宮二郎)に助けを求めるのですが…。
この得田が…とんでもない弁護士で…。