ディスレクシア(1)

学習障害」(LD)という語は目にするようになったものの、
ディスレクシア
という名をご存知の方、どれくらいおられるでしょう。
南雲(なぐも)明彦さんの講演を通して、私も初めて知りました。
学習障害とは、基本的には知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すというもの。その中で文章の「読み書き」に著しい困難を要するものをディスレクシアと呼ぶようです。映画俳優のトム・クルーズが「学習障害」をカミングアウトしたのは有名ですが、彼もディスレクシアだそうです。
まずは南雲明彦さんの紹介から。1984年、新潟生まれ。21歳になるまで「理解力はある程度あるが、読み書きがうまく出来ない」という困難に苦しみ、引きこもりや自傷行為強迫性障害による入退院を繰り返します。自身がディスレクシアであることを知って苦しみから解放され、自分と同じような子どもがいなくなることを願って、講演や執筆を続けられています。多い時には一年に100回以上の講演をなさるとか。
現れた南雲さん、「イケメン」と聞いてたけど、確かにイケメンでした。スマートでサラサラの髪…タレントさんみたい。
話の中で、まず驚いたのは、文字の見え方が違うということ。
文字が揺れるように見えたり、かすんで見えたり、鏡文字(左右逆)に見えたり…
教科書の上で迷子になる。
なるほど…。それで、
教科書を読むのが著しく遅く、行を読み飛ばしたり、漢字を読み飛ばしたり…。
板書するのに時間がかかり、授業についていくのが難しい。
書道などで紙から字がはみ出したりする。
普通にしゃべるし見た目も普通なので、周囲には理解されない。
「読書感想文」や「日記」など出されても書けない。
「みんなと同じように出来ない」のを、
努力不足。
と見られ、自分を責めてしまう。
「みんなのやること、先生の言うことは正しい」
と思うので、それを出来ない自分を責めてしまう。
一番苦しいのは小学4年生の時だったそうです。
高学年になり、小学校内でも社会でも、「可愛い○○ちゃん」ですまなくなる。
我が子を見ていても、自分を周囲と比べて、客観視し始めました。
自分を守るために笑っていたそうです。
小学生が、自己防衛のために笑うなんて…。
ウツ、無気力、眠れない…。
一番楽しい子ども時代を…なんて悲しい。
「障害は個性」という見方もされる時代ですが、南雲さんは
「それほど簡単ではない」
と言われました。