「変態家族 兄貴の嫁さん」(1)

周防正行脚本・監督の映画、「終(つい)の信託」がもうすぐ公開になります。
回りの試写の評判も上々で、ピーター先生も絶賛。「これぞ映画だ」というような映画だそうです。
で、月刊「シナリオ」11月号にシナリオと周防監督インタビュー記事が併載されていました。
原作は同名の小説。終末医療と検察問題を扱っています。周防監督と言えば、89年の「ファンシィダンス」で話題を呼び、シコふんじゃった「Shall we dance?」で一世を風靡してヒロインを演じたバレリーナ草刈民代と結婚。その後2007年に「それでも僕はやってない」で久々にメガホンを取りました。
今回の終の信託ですが…。
路線変更?
と思うくらい、今までの映画とは異質。コメディ色、エンターティメント性豊かだった監督が、この映画では、
娯楽性なし。
どこまでもシリアスでサスペンスタッチでさえある。主人公の草刈民代演じる46歳女医は、色んなしがらみを抱えながら、追い込まれていきます。
草刈民代と言えば、「Shall we dance?」でクールなマドンナを演じてましたが、今回は、
年下医師との不倫の果てに、ふられる。
それも、
夜、病院内の空室、激しいセックスシーンを繰り広げてる。
|* ̄Д ̄*||*-д-*||* ̄Д ̄*||*-д-*|ウンウン
いいんですか?周防さん…。
いえいえ、ともかく、今までの「カッコいい」草刈民代のイメージと違うんですね。私はシナリオを読んだだけなので、
高井(浅野忠信)、キスしながら綾乃(草刈民代)のブラジャーを外し露わになった乳房を愛撫し、唇を這わせながらショーツを脱がす。
快楽に身を任せる綾乃。
というト書きから推察するしかないのですが…。
いいんですか?周防さん……
そりゃ、自分がシナリオ書いてるんだから、いいに決まってるんですが…。(どういう顔してこんなト書き書くだろう…(-_-;)
インタビューで聞き手に「激しいセックスシーン」と評されて、監督は、
「激しいですか?もっと激しくすべきだったと反省しているんですが(笑)」
とのこと。
「自分の奥さんが目の前で脱いでるから撮りにくいっていうより、こういうシーンはどう撮るべきなのか、と」
悩まれたそうです。つまり、
この濡れ場にどういう意味があるか。
とか、
このセックスシーンで二人の何を表現出来るか。
ということを考えるんでしょうか…。確かに、そういうことを考えると難しいです。
そして次に監督は、
「むかし、あれだけピンクの助監督をやっていて、自分でも1本、『変態家族 兄貴の嫁さん』(84)を撮っているのに。難しいよなと思って(笑)」
と語られます。
皆さんはご存知でしたか?
周防監督の一般映画デビューはもっクンこと、本木雅弘主演の「ファンシィダンス」ですが、映画監督としてのデビュー作は「変態家族 兄貴の嫁さん」なんですね。
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
この「変態家族 兄貴の嫁さん」ですが…。
周防監督は、小津安二郎の大ファンで、
脚本を書き上げた後、小津安二郎のお墓に参って、「あなたのことが好きで好きで仕方ないので監督デビュー作品に真似させてください」と言って来た。
それが、「変態家族 兄貴の嫁さん」なわけです。
台本名は「お嫁さん日和」とあります。(小津調ですね)それを公開に際して、
『変態家族 兄貴の嫁さん』
で押し切られたのではないでしょうか???
実は、私、周防監督とお会いしたことがあります。「Shall we dance?」が大ヒットして、その余熱がまだ覚めやらぬ頃。映画企画の席に呼ばれまして、スタッフと企画会議室で監督を待ち受けていました。監督は時間ちょうどに、
「こんにちは」
と現れました。
「こんにちは」――それが実に爽やかで、好印象だったんですね。業界では、例え真夜中でも「おはようございます」が常識。実は私も、この「おはようございます」が苦手で言えなかったので、この周防さんの「こんにちは」に、親近感をもったのでした。業界にいても、業界色に「染まりたくない」――そんな印象をもちました。
そこで周防さん、色々お話になった中に、「Shall we dance?」のタイトルについて、制作サイドの大映側は、
「ダンスよ今夜もありがとう」
「駅前、ダンス教室」
だったそうです。
(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン
これを打破するのに、当時の周防さんとしては、かなりな労力を要したような…。
はたして、
「ダンスよ今夜もありがとう」
「駅前、ダンス教室」
だったら、「Shall we dance?」はあそこまでヒットしたでしょうか?
イクナ--(゚∀゚)-( ゚∀)-( ゚)-( )-( )-(゚ )-(A゚ )-(゚A゚)--イ!!!!!
ともかく、周防監督がDVD特典で解説するに「変態家族 兄貴の嫁さん」は、
「晩春」笠智衆に送り出された原節子が、嫁いだ先が変態の家族だったらというストーリー
なのだそうです。