舞台「くるしゅうない」

「あれに決めた!」
12代将軍、家慶の嫡男、市松が、天守閣から遠眼鏡を覗き、長屋の娘、初を見初めます。この市松、まだ十代でしょうか。生まれてこの方、城から出たことがない。贅沢でも窮屈な暮らしに、もう飽き飽きしてるんですね。そして、この決断を、お付の老女、まるに告げます。まるが考え直すように言っても、市松の固い決意は変わらない。そして…。
市松とまる、大凧に乗って城を出ます。
この市松が、とってもキュート!そして、アニメから抜け出したようなおっとりしっかりの、老女、まる。二人が手を上げただけで風のように現れ、何でもしてくれる茶色い迷彩服の隠密、3人組。
こ、これは何?
こんな時代劇、観たことない!
大道具も仕掛けもないのに、ファンタジックなアニメーションの世界。
そして、とってもお洒落で弾けてる!
キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
場所は六本木、俳優座
劇団岸野組公演、『くるしゅうない』
http://www.h3.dion.ne.jp/~kishinog/Hp_deta/tokusyu/kurusyunai/tokusyu-index.htm
岸野組さんからご招待を受けて、観てまいりました。
連休の中日、平日の午後。
満席の客席眺め、よろしよろし…と思いながら、満席にするために、劇団員の、どれほどの汗と涙が流されたかと思うと、胸がつまった(涙)
いやいや…。
昨年の今頃、自分が必死でチケット売ってたもので、ついつい思い出して感慨に耽ってしまった。
そうして始まった舞台、『くるしゅうない』
「くるしゅうない」とは、よく時代劇で耳にしますね。「くるしゅうない。近う寄れ」とか。
位の高い者が低い者に、「緊張するな」「楽にしなさい」…というような意味ですね。
で、この市松も、度々口にします。
「くるしゅうない!」
偉そうな殿様風じゃなくて、クリクリ小坊主風が言うと、いかにも生意気でいいですねぇ。
この市松、演じるのは飯塚雅弓、アニメの声優としても活躍されてる女優さんです。見た目はクリクリした小坊主のような男の子に見えるけど、しゃべると女の声。小柄で一目惚れする娘、初よりも幼くて背が低いけど、そこが、まるでアニメのキャラクターっぽくていい(^-^)vやんちゃで我がまま、世間知らずの聞かん坊…もう、声優と女優パワー全開で、「市松」というアニメキャラになりきってます!(現実感ないのに、存在感抜群)
城を出た市松は身分を隠して娘に接近しようとするも、用を足すことさえ一人でやったことがなく、娘、初と言葉を交わすことすらできません。行きずりに知り合ったインチキ占い師、与助に助けられ、貧乏長屋に飛び込むことになりますが…。
この与助を演じるのが、劇団を主宰する岸野幸正。岸野組結成が1990年、演出と主演を続けられています。声優としてもご活躍です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E9%87%8E%E5%B9%B8%E6%AD%A3
この舞台、肩が凝らないどころか、理屈がない。遊び心、サービス精神、満載。役者・演出・脚本…が渾然一体となって、岸野ワールドを創り上げていました。
理屈抜きのありえない、ハッタリの世界。これを小説やアニメでなく、エンターティメントとして芝居でやる、成功させるのって、至難の業だと思います。全く、脱帽しました。
キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
面白い以上に、楽しい。いつでも何処でも、合図ひとつで風のように登場する隠密3人組、最高。これが、エンターティメントかと思いました。理屈抜きで楽しませる、って、理屈あり、よりずっと難しいと思います。聞けば、最初のキャスティングでは市松役は男優だったとか。エンターティメントの舞台裏は、まさに、妥協のない厳しいものだということを、考えさせられました。
劇団の方々、スタッフの皆様、素晴らしい舞台、ありがとうございました。GW明けたら、しっかり休養してくださいね(〃⌒ー⌒)ノ
。゚( ゚^∀^゚)゚。アーッハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \