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レイコは悩む…。
悶々と悩む。
窓からは穏やかな日差しが降り注ぎ、締め切り原稿もない。取材や打ち合わせもないので、たっぷり睡眠もとった。
飲むワインがなくても気にならない。透明で静かな午後…。
昨日、銀座『木村家』で買ったパンに珈琲飲みながら、
戯曲読んでないなぁ…。ストリントベリの「令嬢ジュリー」や「死の舞踏」…読み返したいなぁ…。
WOWOWの録画…12月4日の「レ・ミゼラブル」(179分)…どうすんねん、これ。見ないまま永久保存版になりそうやで。
昨日、たまってる新聞、結構読んだから…それだけでも気が軽い(^O^)
なんて思いながら…
やはり悩む。
のである。
何を書こう…
ブログに…。
レイコにとっては、ブログを「書く」こと、それ自体より、
「何を」書くかが問題であった。
「何を」書くかが決まれば、後は、空飛ぶ絨毯に乗ったようにパソコンキーを叩けばすむことであった。
「何を」書くか…。
先日、16日ブログのコメントに「手を抜いたな」「中身ないじゃん」…と指摘されたことも気になっていた。
それは、ウンウン唸っても出てこない。かと思えば、天啓(てんけい=神の導き)のように突如、降りてきたりする。
そしてつい先程…。
何を書こう…と、『天使の自立』過去原稿を読み返そうとした時、携帯が鳴った。
たまに電話が掛かってくるオヤジ友達のOさんであった。
土木建築会社経営しながら、作家を兼業するオヤジで、去年の1月、去るパーティで知り合い、それからちょくちょく電話をいただく。
「先月の22日にメールもらってるんだけど、その返信しようと思って」
とOさん。先月、22日…?
「『メールデビューおめでとうございます』って…」
ああ…。「ブログ見ました」とパソコンにメールが来て、初めての「(パソコン)メール」だと言うので、「おめでとうございます。是非、コメントを…」と返信したのであった。
そんな…
一ヶ月近く前のことを昨日のことのように言われても…( ̄▽ ̄;)
で…
「返信するのどうしたらいいの?」
ああ…。Oさんは50代…。
私は心の中で絶叫した。
ごめん、ピーター!!!(「個人教授」(1)(2)参照)
80歳のあなたが「添付送信」出来ないことをブログネタにしてしまったけど…
「メール返信」出来ない50代オジサンがいたよぉ〜
これくらいなら、私だって電話指導出来ます。Oさんもそれに従って、
「今、送ったよ!」
どれどれ…。
「あ、キタキタ〜」
・*:..。o○☆*゚Congratulations!!・*:..。o○☆*゚
なんでしょうか…???
「あの…。昔、パソコン猿とか言われてたオジサン達も、時代とともに進化して、それなりのパソコンスキル身に付けないと会社に居られなくなったり…。Oさんの場合は、そういうのは部下がやるからいいんですか?」
「そうそう。事務のおばちゃんもいるしね!」
「"  ̄ー ̄)ノ""))))))))ブンブン"」
勿論、作家業の原稿は「手書き」。
で、次に…
「俺のことが地元(沖縄)の新聞に載ったんだけど、どうしたら送れるの?」
どうも、口調ではパソコン送信を意味しているらしい。
「その記事はデータとしてあるんですか?」
「ううん。新聞記事」
「…紙?」
「そう」
「あの…紙の原稿はファクスでしか送れないと思うんですけど(ー_メ)」
「ああ、そうなの?じゃ、やってみる」
紙の原稿をパソコン送信しようとするオジサンがいた…
ごめんよ、ピーター!!!
ファクスで送れる原稿を、パソコンで送ろうとする貴方の志(こころざし)の高さが…今は…
眩(まぶ)しい…"+;・ο。.・;+:+.。ο・;+*:゜・☆♪"
で、ファクス前で記事原稿待ち受けていたのが…来ない。
と、携帯が鳴って、
「送れないんだよね…」
「…あの、Oさん、ファクスも送ったことないんですか?」
「そうそう。家のファクスはやれるんだけど、会社のはいつも事務のおばちゃん(^ー^)ノ」
で、ファクスのモニター画面見ている私…
「あの…ずっと受信中で、受信3とか出てますけど、何枚もあるんですか?」
「ううん。1枚」
「じゃ、どうして…?」
「送れなくてボタン何回も押したからかな…?」
「…(/ ̄ー+ ̄(/ ̄ー+ ̄)…」
「なんか、俺、機械と相性悪くて」
「( ̄ω ̄)(ーωー)( ̄ω ̄)(ーω−)」
ピーター先生!
我々に希望の光が…。
我々が三重苦のヘレン・ケラーに例えられるなら、
Oさんは…
ニワトリ……(*^^)/。・:*:・゜★,。・:*:・゜☆オハヨー!
いえいえ…。冗談です<(_ _*)>
無事に、Oさんの顔写真がデカデカと載った新聞記事が
13枚送られてきました。
駅前で配ることにします"(-""- )"
ですが…。
Oさんの用件はこれだけではなく、これはタダの「ついで」に過ぎませんでした。
本題はこれから…。
「三輪さんてA大学だったよね?」
「はい。よく覚えてらっしゃいますね」
さすがオヤジである。
「A大学の女の子と昨日、飲んでさ」
「え…現役の女子大生?」
「そうそう」
「すごいじゃないですか。どこで?」
「2丁目」
「新宿2丁目?」
「そうそう。ほら、師匠の中上健次があの辺、縄張りだったから」
Oさんというのは、かの文学界新人賞でデビューされたのですが、その頃から故・中上健次と師弟関係にあったとか。
「でも、今の人って中上健次なんて知らないでしょ」
「そんなことないよ。『岬』とか読んでたよ」
で、話しを聞くうちにどうやら…。
現役女子大生を先月ナンパして、昨日、見事に思いを遂げたとのこと。その興奮の余波で私に電話してきたのです。
このOさん。
ニワトリどころか、かなりなやり手…。
知り合ってから1年以上、会いもしないのに私に電話連絡くれるマメさはタダモノではなかった。
つづく。