明け渡す(1)

9月に入ったが、大学生になった娘βはまだ夏休みが続く。

彼女の話によると、9月20日まで夏休みらしい。

大学生になって初めての夏休みである。

彼女がどんな大学生活を送るのか、それは想像するだに恐ろしいことであり、信仰のある私は、エス様にお任せするしかなかった。

初めての講義がスタートしたのは4月20日だった。

βが起きられるか……………………?

高校の卒業式でさえ、朝、起きられず、遅刻ぎりぎりで、朝食食べられず、

卒業祝いの紅白饅頭を担任に断(ことわ)って、食べた。

という担任教諭が生涯忘れられないだろう逸話を残した娘である。

(この話は、卒業式当日、私が担任から直接聞いた)

卒業式でさえ起きられなかったβは、平日起きられるわけもなく、在籍高校の歴代「遅刻記録」を断トツで塗り替えた( `ー´)ノ

ともかく私は、大学生になったβを、

起こさない。

と決めた。

起きられず、単位が取れずに……ということを思えば頭がおかしくなるが、ともかく方針として、「起こさない」と決めたのである。

しかし、当日、朝になってから寝続けるβを、そのまま寝かせておく自信はなかった。

この葛藤、ご理解いただけるだろうか???
エス様にお祈りしたから、大丈夫。

(^。^)y-.。o○

というものではないのである。

そして4月20日、早朝から目覚めていた私は布団で悶々としていた。

昨日まで午後まで寝ていたβが、大学が始まったからとて「起きる」わけがない。

と決めてかかっていた。

が、しかし…………………………………………………………………

βは早々と起きたのである。

この時の驚きは、全くもって、驚愕であった。

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

「なんで起きたん???」

「え、だって………大学」

(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

それが、4月20日、一日限りのものではなく、それからず~っと続いたのである。

私は朝、βを起こさなかった。

大学の講義はリモートになることなく、月~金までβは毎日大学に通った。

金曜には、「自分へのご褒美」と、コンビニでアイスを買っていた。

それどころか、毎日のようにあるレポートや課題も、(誰に催促されるでもなく)真面目に取り組んでいた。

ありえない。

私も夫も、喜ぶどころでなかった。

そうして迎えた夏休み。

遅刻はあっても大学からクレームが来ることはなく、これは、奇跡のようだった。

βが頑張った、といえば話は早いが、ならば、

高校時代は頑張らなかったのか?

ということになる。

なぜ、頑張れたのか???

考えてもわからない。

主が守ってくださった。

しかない。

とにもかくにも、無事に大学1年の前期課程を問題なく終了して迎えられた夏休みなので、

うるさいことは言うまい。

と心に決めた。

そうして迎えた夏休みだったが………………………………………