祈りのこたえ(3)
18歳になった娘達、一卵性双生児のαとβだが、姉のαは中学3年頃からあからさまにイエス様を嫌がるようになった。
反抗期なのだと思う。
聖書とこの世とでは価値観が逆だし、矛盾もある。
神がいるなら、どうして、こんなことが起こるのか?
神様……面倒くさい。
もアリだろう。
自我が目覚めたともいえるし、道草くらいして当然。
一方、妹のβは、子どもの頃、
「イエス様の次にお金が大事」
と言って笑わせてくれたものだが、今も信じてはいるらしい。それは、
「お金の次にイエス様」
ほどの信仰かもしれないが。
昨年の夏、引っ越しをしたのだが、(自転車で15分ほどの位置)
夜、旧居の掃除を終えて新居に帰る途中に、βは新居の鍵を失くしてしまった。
それを電話で聞いた私は、げんなりしながら、
「祈りなさい」
と言った。夜間、自転車で移動中に落とした鍵が、そうそう見つかるものではないと思いながら、落ち込んだβに他にかける言葉が見つからなかった。
ところが……
鍵は見つかったのである。
私自身、信じられなかった。そうして、
「祈ったの?」
と聞いた。
「祈った」
βは答え、
「イエス様に感謝だね」
と言ったら、
「私の努力は?」
「???」
である。