マスクを買う(2)

そんなわけで、「マスク30枚3600円」の新聞折り込みチラシを目にしてから数日後、隣の駅に、週替わりで衣類や雑貨など出店のでるスペースがあり、そこになんと、

ワゴンでマスクが販売されていたのである。

他にはエタノールのハンドクリーナーやガーゼ、その他……

人が殺到するほどではないが、そこそこ足を止め手に取ってはいる。

私も立ち止まり、手に取ってみる。

マスクには使い捨てから手洗いできるもの、各種あり、洗って使えるファショナブルなマスクは一枚1000円以上する。

そして、使い捨てマスクは5枚パック、10枚パック、50枚パックあり…

1枚100円換算だった。

(50枚パックでも値引きにならない)

色々と口上書きがワゴンの上に張られてあり、それによると、

日本ではマスクの生産は、8割方中国であり、そのため、今、大変なマスク不足になっている。

これは、さるルートから大量に仕入れた真っ当な中国製のマスクであり、今、日本では使い捨てマスクは一枚80円から150円で販売されている。

というような内容である。

そしてなんと、私が目にした新聞折り込みチラシが「見せしめ」のように張られてあった。

フーン……

実に興味深かったが、購入する気にはならなかった。

まだ家には、去年、ドン・キホーテで箱買いしたマスクが50枚くらい残っているし、個人的に必要に迫られているわけではない。

今だって、マスクをしているのは気休めだった。

使い捨てマスクが一枚100円。

バカコケ

である。

一枚100円やったら、自分で作るわ。

とその場を去り、クリニックへ行き、いつもの(血圧の)薬を処方してもらう。

が、それを待つ間、私はみるみる、あのマスクが気になってしまったのである。

自分では必要ない。しかし、必要な人、ほしい人…はいくらでもいるのではないだろうか?

そんな思いがむくむくと膨らむ。

売り切れ…の不安がよぎる。

クリニックを出ると、速足であのマスクワゴンへ向かった。

マスクはあった。

使い捨てマスク1枚100円は「バカコケ」だが、5枚で500円。

1回のカフェ代。銭湯代(470円)。

10枚で1000円……1回の外食代。(娘達と3人で外食すれば3000円)

それを思えば、今、高い買い物ではない。

ネットで買えば「届かない」ということもあるようだが、その心配はない。

お一人様 50枚まで。

5枚パックでも50枚パックでも値引き率は同じ。

ならば…

5枚パックを10個買う。