「痛み」(2)

 「痛み」を通して一番感じたことは、

「痛み」によって自分の身体を知る

ということ。

痛みの原因は何なのか、どうすれば痛みが治まるのか…考える。

専門医の診察を受け、理学療法士のリハビリを受けた。

こうして、自分の身体とつき合っていくのだと思う。

痛みがない―—「痛くもかゆくもない」というのは…

「痛み」を経験しない限り、「ありがたい」とも思わない。

「痛み」を経験して、「痛み」がなくなった時、

人は喜び、感謝する。

そういう意味で、この世に、「痛み」や「苦しみ」「悩み」…は必要なのだと思う。

その他にも、色々学ぶことはあった。

二度目の整形外科を受診し、二度目の理学療法士による施術を受けた。

前回の施術によって足の痛みは大幅に軽減されたけれど、

痛みの原因がわかったわけではない

らしく、それをこれから、突き止めていくのだという。

サスペンスである。

それで今回は、私の「歩き方」(「歩き方がおかしい」と若い頃から言われていた)に焦点が当てられ、

「歩いてみてください」

クリニックのフロアーを歩く。壁までを往復したところで理学療法士が寝台の上で私の足をマッサージし、それからまた歩かされる。

「全然違う」

とか言われる。それを何度か繰り返す。

要するに…

私の歩き方には、かなりクセ(=問題)があるようで、

「今まで本当に、腰痛とかありませんでした?」

と確認される。

私の歩き方は、腰痛になりそうな歩き方らしい。

20代の頃からよく転んでいたが、腰痛になったことはない。

何にせよ、私は言った。

「歩き方がおかしい、とはいわれても、直せなかったので」

このような、おかしい歩き方を続けていては…この先(老後)、どうにかなるのではないか…という不安はあった。それでも、どうにもならない。すると…

この、おそらく30代そこそこの理学療法士は、私が想像もしなかった答えを返した。

「身体を変えなければ、歩き方も変わらないですよ」

「……………………………」

つづく