「痛み」(3)
「身体を変えなければ、歩き方も変わらないですよ」
理学療法士の言葉に、しばし絶句。
そもそも、「歩き方」というものは人から教わったものではない、と理学療法士はいう。専門用語で「原始運動」というらしい。つまり、生れ落ちて歩き出す頃から、身体に合った、自然な動き方(歩き方)をしているということらしい。
「歩き方」が人から教わるものではない、というのは、ちょっと衝撃的であった。確かに、人は誕生してから色々なことを指導・教育されるが、「歩き方」は誰からも教えられない。……考えたこともないことであった。
私のこの…若い頃からよく転び、何度ズボンの膝に穴を開けたかしれない歩き方……。理学療法士によれば「腰痛になりやすい歩き方」らしいのが腰痛にはならず、よって、放置されたまま今に至ったともいえる。
(老後に備え)転ばないようにとランニングを始め、ランニングしながら転んでいる始末である。
「身体を変えなければ、歩き方も変わらない」
すなわち、
「身体を変えれば、歩き方も変わる」
ということである。私は理学療法士に尋ねた。
「どうすれば身体を変えられるんですか?」
理学療法士がいうには、寝台の上でやったリハビリを3000回ほどやれば「変えられる」らしい。
……3000回。30000回なら手は届かないが3000回なら、やれそうな気もする。