引っ越し(3)

引っ越し前日(日曜)、高2の娘たち(双子)は午後になっても昏々と寝ていた。私は礼拝を休んで、荷造りに励んでいた。

引っ越しにも「楽々パック」というようなものがあって、荷造りも荷ほどきもやってくれるようなのがあるらしい。

もちろん、「楽々パック」などは頼まない。頼んだのは、

「イエス様 おまかせパック」

である。

「私は何もわかりませんし、できません。イエス様、すべてをよろしくお願いします」

と、ひたすら祈るのである。

娘たちがモノの役に立たず、夫の助けなどは毛頭アテにはしていなかった。

さて、どうなるか…。

主がどのようなみわざを見せてくださるのか…期待しながら荷造りしていた。

引っ越し業者から電話があった。

引っ越し日当日、午後2時始まりだったのが12時頃になるかもしれない。

そ、それは…。

荷造りができていないかもしれない、と言うと、「荷物を2往復で運び込む(その方が料金が安い=時間がかかる)から、大丈夫でしょう」と言われる。

あらがっても仕方ない。

エス様頼みである。

これも、イエス様のご計画なのかもしれない。

娘たちはようやく、夕方に起き出した。起きたものの、片付けなどは要領もわからず、のらりくらり…。

私は引っ越し業者が届けてくれた段ボールなどに、着々と荷造りし、段ボール箱を積み上げる。

そうして…そのまま翌日、引っ越し業者が来て、引っ越し業者が帰るまで30時間、

一睡もしなかった

のである。眠気もなかった。

業者が来た午後12時。

娘たちの部屋を除けば、大方、荷造りは終わっていた。

前の晩、兄から電話があり、引っ越し前に、(引っ越し業務にかかわる人数)一人頭1000円くらいのチップ(?)を払うよう、アドバイスを受けた。

「そうしたら、まぁ、うまいことやってくれるわ」

引っ越し業務の匙(さじ)加減…色々あるのだろう。

で、引っ越し当日、挨拶に来たチーフに人数分(事前に確認)のチップを渡したら、

遠慮なく受け取った

そのチップが他のメンバーに分配されるのかは、もう、知ったことではない。

エス様頼みである。

で…。

娘たちの部屋…、娘たちはせっせと荷造りしてはいるのだが…

「その調子でやってると、日付替わっちゃうよ」

チップ渡したチーフの人が、優しく言ってくれる。

で…段ボールに荷造りしてくれる。

タンスも、中が入ったままで搬送してくれる。

そんなこんなで…。

引っ越しは終わった

のである。

引っ越し業者のチーフは感じの良い人で、引っ越し業務において、色々手心を加えてくれた。

それは…

引っ越しの予定時間が2時間早まった

チップを渡しておいた

…などが功を奏したのかもしれない。

それも込みで、

「イエス様おまかせパック」

大成功であった。