花筐(はながたみ)(2)


先生の新著…。評判いいらしい!さて、この映画「花筐」。原作は壇一雄、1937年の作。この年、壇一雄日中戦争の勃発で召集されている。
25歳。「最後の無頼派」とも呼ばれる壇だが、この「無頼」の裏には切実な戦争経験があるようだ。
少年時代に「花筐」を読んだ三島由紀夫は大きな影響を受けたという。
図書館で予約して、原作「花筐」を読んだ。40年前、脚本化に向けて、この原作を桂先生が読んだのだ、と思うと、感慨深いものがあった。
ストーリーは…
アムステルダムからの帰国子女の少年、榊原は、海辺の小さな町のカトリック系大学予備校に入学する。
始業日の授業中に堂々と教室を後にした鵜飼と吉良を本能的に追いかけてしまった榊原は、入学早々にして学生生活からドロップアウトする。
やがて、鵜飼や吉良の無軌道で自暴自棄の生活に触れることで榊原は、かつてないほどの精神的自由を得たように錯覚してゆく。
個人的には、幻想的な竹宮恵子の世界。尾崎豊「15の夜」という説もあった。
大林監督は40年前、「花筐」の映画化を思い立った。能古島(福岡市)で静養中の檀氏を訪ねている。檀氏が亡くなり、映画化の話はいったん消え、当時、CFディレクターだった大林監督の劇場映画デビューは、桂千穂脚本による「HOUSE」となった。
これについては、過去ブログを参照願いたい。(桂先生と大林信彦との出会いも記されている)
http://d.hatena.ne.jp/rennren/20140527#1401201867
またこの映画、大林監督が末期がんを宣告(余命半年)され、抗がん剤治療を受けながらの撮影だったらしい。
これについては、ETV特集、「映画作家 大林宣彦の遺言」https://www.dailymotion.com/video/x5z8ygs(CM後)