花筐(はながたみ)(1)

このブログではお馴染みの脚本家、桂千穂…先生。
知り合ったのは、私がシナリオ作家協会主催のシナリオ講座に通っていた頃だから、相当な昔である。

あれから、コンクール受賞を機にライターデビューし、結婚し、母親ともなった。
私もええ年になったが、先生は先月27日で88歳になられたという。
88歳、米寿である。
若い頃には、「年寄り」といっても、白髪になり皺が増えて腰が曲がる…くらいしか想像できなかったけれど、
今では、「老いる」ということが、どういうことだが、リアルにわかる。



それは、
今までできていたことができなくなる、という身体の衰えであり、
(自分が元気だとしても)周囲が病み、亡くなっていくという現実であり、
家族や社会から「必要」とされなくなるという寂しさ、夢や希望がなくなり、「死」がどっしりと目の前に腰を据える
…ということではあるまいか。
「人生80年」
と言われるのが、わかるようになった。
元気な老人(80歳以上)もいるが、それはごくわずかで、大方の老人は表には出ない。そのわずかな、元気な老人も、時とともに、間違いなく消え去る。世は無情である。
そんなわけで、88歳で、
(一人で)歩ける。
(好きなもの)食べられる。
仕事して本出してる。
誰の世話にもなっていない。
という桂先生は、凄いなぁ…と思う。
Wikipediaによると、
(略)シナリオ作家として全然芽が出ないことに焦りを感じた桂は、本人いわく「やけっぱちに」なって、シナリオ作家協会が主宰する1971年(昭和46年)の第21回新人シナリオコンクールに『血と薔薇は暗闇のうた』を応募し、入選を果たした。この脚本は真っ黒な原稿用紙に白インクで書かれ、桂千穂という女性名義で、知人の女性の写真と「昭和22年(1947年)釧路市出身の24歳(応募当時の年齢)。聖霊女子学園大学卒業、敬愛する三島由紀夫さんに読んでもらいたくてこのシナリオを書いたが、(前年の1970年に三島が割腹自殺をとげたため)読んでいただけないのが残念」というデタラメのプロフィールを添えて応募されたものだった。入選後に経歴と性別の詐称が発覚して騒動となるが、シナリオ作家協会所属の八木保太郎や、八住利雄橋本忍などのベテランライターが擁護して収束する。
桂千穂」をよく知る私でも読み流せない経歴である。(知ってはいても、改めて読むと…( ;∀;))

入選当時、桂先生42歳。それが今や…故新藤兼人氏の後を継いで、シナリオ作家協会、シナリオ講座の学長である。
そして、今年、12月16日、先生の(脚本した)80本目の映画が公開される。
大林宣彦監督、壇一雄原作、
「花筐」(はながたみ)
40年前に書かれた脚本である。
取り敢えず、予告編
http://hanagatami-movie.jp/