「(秘)海女レポート」(3)

先日、桂宅にお邪魔した折、開口一番、
「『(秘)海女レポート』は『潮騒』のパロディなんですか?」
と先生にお尋ねしたら、
「そんなバカなこと、あるわけないじゃないですか」
「でも、解説に書いてありました」
「勝手なこと書くんです」
「え…『潮騒』を意識して書いたわけじゃないんですか?」
「あたりまえです!」
ふむ。そう言われれば、そうだろうな…、とも思う。(極めていい加減)
「あんな作品、消し去ってしまいたい」
と、また言われるので、
「私は楽しめましたけど」
「あなたはやっぱり、映画見る目がないんですね」
…ここまで酷く言われる「(秘)海女レポート」が、可哀想な気にもなり、
改めてDVD見直しました。
そしたら、やっぱり、
面白かった。
ので、ブログ続き、行きます!
桂先生のお蔭で、随分、日活ロマンポルノを見ました。
で、この「(秘)海女レポート」は、他のロマンポルノ群と、明らかに一線を画していました。
それは、
開放的。
明るい。
楽しい。
…夏にぴったりなんですね。
これ見るまで、私は「海女=暗い」イメージがあったのですが、全く逆。
思えば、「海女ちゃん」の海女も、皆さん、明るくてパワフル。
そう、「(秘)海女レポート」の海女は、「海女ちゃん」に登場する海女、そのもの。
「(秘)海女レポート」は「海女ちゃん」の原点。
という説に、桂先生も賛同くださいました。
で、旅回りのストリップ一座のヒモをしていた正、一行に置いてけぼりにされたところが、海女の村。
開放的で警戒心もない、ブラジャーもせずおっぱい放り出してる女達、惜しげもなくさらけ出す肉体美に、正は
海女のヒモになる。
ことを考えます。
これだけでも、なんか…いいですよね。
ここで描かれる海女は…今までの日活ロマンポルノ界の女と全く、違います。
性に対する後ろ暗さが全くなくて、
セックスがスポーツみたい。
一汗流して、ああ、快感…
みたいな。
で、正は若く美しい海女で一儲けしようと画策。
そこへ、
夢の島マリンパークの、「観光海女募集」の広告を見つけます。
ジャンボ収入とあります。
マリンパーク側としては、若いピチピチの海女による特別ショーを予定していました。
ストリップ一座のヒモだった正は、
海女の水中ストリップショー
を企画して、懇(ねんご)ろになった海女、ナツミを送り込みます。
ナツミは、モデル並みのプロポーションと尻軽さを兼ね備えた海女です。
ガラス張りで水中が見通せる座敷に、男性客が群がっています。海女の衣装で現れたナツミが着衣を脱ぎ、客に投げキッスを送ります。
これは大当たり。
正は、次なるターゲット、広子に狙いを定めますが、広子はナツミと違って貞操も固く、恋人もいます。映画のヒロインですね。一般映画の青春ドラマ風ヒロインのようです。(ブラジャーしてませんけど)
正の誘いに広子は見向きもしません。
マリンパーク側としては、
海女GETに金に糸目はつけん。
遠洋漁業に出た夫の無事を祈って、海女達が浜で飲み明かす磯祭り
にマリンパークは狙いを定め、
広子をGETしようと策略します。
しかし、マリンパーク側のさもしい魂胆など、海女パワーによって一挙粉砕!!
広子は恋人と結婚。
ナツミはマリンパークの人事課長と結婚。
海女達はマグロ漁から帰って来た亭主たちと…熱い夜。
取り残された正は行く先もわからずフラフラと村を出ます。
すると、あの、ストリップ一座の車が正を拾ってくれて、
めでたしめでたし…。
ここで最後に、忘れられないいい味出してた年増海女、お梅さんについて一言。
広子の母親で、身体は若々しいんだけど、顔見ると「菅井きん」。菅井きんさん、ご覧になってたらごめんなさい。汗)
赤いビキニに帽子被って、てっきり「広子」と思いきや、顔見ると…菅井きん
(正が海女達にあげた)ストリップで使ってた衣装を着て、部屋で寝転んでるところへマリンパークの責任者が広子をスカウトしにやって来て、てっきり、広子だと思ってふるいついてしまったところが…顔見たら菅井きん
などという、演出も面白かったです。
お梅を演じた女優、森みどりは1941年生まれですから、当時34歳。(広子の母親役としては若すぎる)
あの肉体美も頷けます。
多情な海女を怪演していて、インパクト抜群。
最後の磯祭りでも、髪に赤いリボンをつけ、おっぱい放り出して踊っていました。
ところが、マリンパークが広子の契約書にサインさせようとしたら、
「いくら金を積まれても、そんなところへはやらん!」
と一喝。浜の女、カッコイイです。
森みどり、有閑マダムからストリッパー、女囚まで演じた、貴重なベテラン女優だそうです。