「人はかならず、やり直せる」(1)

「起きてから一発目のシャブは本当によく効く。その快感を最大限得られるように、最初のシャブはいつも濃い目に作った」
「濃い目に作った」…なんて、まるで目覚めの珈琲淹れるみたいですが…。リアルでおおっ、と思っちゃいます。
「吸い取られた水が注射器を通ってシリンジに勢いよく入ってくると、覚せい剤の粒子が粉雪のように水の中できれいに舞う。それを見ながら、『今日もシャブと共に一日を始めることができる』と満ち足りた気分になるのだった」
「シャブを血管に打つと、血液の流れに乗って心臓のほうへ向かい、ポンという感じで心臓に入っていくのがわかる。その瞬間、先ほどまで感じていた体のだるさが一気に抜け、体が軽くなって活力がみなぎってくる。シャブの快感は頭皮にまで達し、頭の毛穴が開き、頭髪が逆立つような感覚が毎回全身を駆け巡った」
まるで、作家が覚せい剤依存者に取材して書いたようなリアルで迫力ある表現、描写…。
ところが、この作者は元ヤクザ、現在牧師の進藤龍也氏。これは著作『人はかならず、やり直せる』(中経出版の「プロローグ」からの引用です。
はい、9・13ブログ「ヤクザが牧師に」で紹介させていただいた進藤龍也です。
作者が初めて覚せい剤を打ったのは17歳、やくざになる直前だったそうです。この時は、友達が多めに注射したことで逆に気持ちが悪くなって吐きまくった。バッドトリップだったそうです。
18歳になって正式にやくざになり、同じ友達から「今度は量を減らして打つから」と説得されて断り切れず…。すると、
「頭がスーッとして、天にも昇るような感じがした。すべての毛髪が逆立つような感覚にとらわれ、あまりの気持よさに鳥肌が立った。この状態で博打を打つと、興奮が何倍にも増し、何時間でも博打を打ち続けることができた」
\(●⌒∇⌒●)/\(~∇~* )( *~∇~)/ \(@ ̄∇ ̄@)/ YA〜
いやいや…あまり書くと覚せい剤奨励してるみたいですからね。
でも…「鳥肌が立つ」ような気持よさ…って…。
見当もつかないじゃないの( ̄0 ̄;)
死ぬまでに一度でいいから…(/-\*)
(*`ε´*)ノ_彡☆バンバン!!
はい、ここまでここまで!|`Д´)ノ
やくざ経験者が書いた本て、あまり読んだこともないけど…これが、なかなか読ませるんですね。あ、そう言えば安部譲二が元やくざですね。
やくざ者の心理や裏稼業のしくみ、塀の中…は、それこそ安部譲二が書き尽くしてるのかもしれませんが、私は読んでませんので。こんなところに感心してしまったわけです。
「やくざにとっての刑務所は、筋金入りの罪人たちから犯罪にまつわる多種多様な裏情報を仕入れる場であったり、若手スカウトの場であった。さらには出所後のしのぎのための人脈を作る場になることもあった。やくざにとっての刑務所とは、自分の名前を売るための社交場であり、営業の場でしかない」
まさに、目からウロコ…。
シ━━(^(^(^(^(^(^ω^;lll)━━ン
確かに、言うなれば、そういう「罪人」という同じ業を背負った業界人、いえいえ…人間ばかりが集まって、寝起きを共にしてるわけですからね。
「シャブの密売をしていた私の場合、刑務所は客を見つける格好の場所だった。〜これほど効率のいい営業活動ができるところは、刑務所をおいてほかにはない」
説得力あり過ぎ( ̄へ  ̄ 凸
作家になった安部譲二ならいざ知らず、牧師になった身で、こんなこと書いていいんですか?進藤さん!
って言いたくなるようなこと書いてるところが、この本の魅力であり、作者の包み隠さぬ真摯な姿勢が伝わるようでした。
首までどっぷり、やくざだったんだ…。
18歳で組に入り、シャブに溺れ、刺青入れて刑務所を出たり入ったり(計3回)。小指落として、3度の結婚(3人目の妻は内縁)、3人の子ども…。それはもう、蟻地獄。
28歳で組長代行になるものの、覚せい剤が元で降格。3度目の刑務所行きが決まると内縁の妻にも捨てられます。そして、彼女が最後に東京拘置所に来てくれた時、残してくれたのが聖書だったのです。拘置所の中で出所後のことを考えます。堅気の仕事をしたことのない30男。学歴なし、小指なしで刺青あり。組からも見放され、自分は一体、どうなるのか…。朝から晩までやることのない拘置所の中で、もしかしたら聖書の中に救いがあるかもしれないと、藁にもすがる思いで内縁の妻が残してくれた聖書を読みふけります。
そして…想像もしなかった人生の転機を迎えるのです。
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