「がん」という冒険(70)

前回のあらすじ→(69)をお読みください<m(__)m>

 

この夏から訪問するようになった95歳、一人暮らし★姉妹の突然の訃報…。

一人暮らしとはいっても、私が訪問すると台所で転倒していたり、私が帰った後に転倒したまま12時間、床でもがいていたり…家にネズミが出たり…という、

誰が見ても一人暮らしは限界

という★姉妹であった。近くに住む息子さんは施設に入れたがっているのだが、本人はどうしても嫌だという。

ただ、足腰も弱り、目もよく見えなくなっている★姉妹だが、頭は異常にしっかりしていて明晰である。私の携帯番号もすぐに覚えられたし、「最近、人の名前が出てこなくて…」などと言われ、私は返答に窮した。

とくに健康上に問題はないものの、95歳である。いつ何が起きてもおかしくはない。しかし…

火事に巻き込まれて亡くなるとは…。

★姉妹が火に包まれる?

エス様がそんなことをなさるのか???

 

じっとしていられず、私は心あたりの姉妹数名にLineした。まず、礼拝後に★姉妹宅を訪れて息子さんから話を聞いた◎姉妹である。

2階が出火した16日未明、★姉妹はシャワーを浴びていて煙を吸い込む。

救出された時には息があり、息子の嫁が救急車に同乗する。

息子は仕事先から病院に駆け付け、まだ脈はあった。

次に◎姉妹と一緒に息子さんと話をした◆姉妹。(息子さんから一番に報告を受けた)

部屋は真っ黒でベッドは鉄骨だけになっていた。

近所への類焼は免れた。

 

すでに夕刻になっていた。ここで私はようやく一息つくことができた。

真夜中にもかかわらず★姉妹がシャワーを浴びていた。

これは何という守りだろう。煙は吸ったが火傷(やけど)はないらしい。また、あのよく燃えそうな家が火の海にならず、ご近所にも迷惑がかからなかったというのは奇跡としかいいようがない。

 

ここで、私のなかから湧き上がってきた思い、それは

エス様が見せられるものは「お花畑」ではない。

お花畑…95歳の★姉妹があの家のベッドで眠るように亡くなるのを、ともすれば想像しがちだけれど…今まで自分に起こされた数々のことは、決して「お花畑」ではなかった。闇のなかの光だったり絶望のなかの希望、苦しみのなかの癒しや恵み…。そんなふうにして、主はご自身を現わされる。

そうして、◎姉妹と◆姉妹を車で運んだ♡姉妹からのLineで、私は完全に息を吹き返すことができた。

 

つづく