入試(9)

先週の今日、祈り会へ向かう私の足は重かった。3月入試の◎大の合格発表の日で、私は、

「合格するんじゃないか」

という嫌な予感に包まれていた。別に◎大が名前も知らない怪しい大学、というわけではない。ただ、合格すると大変にややこしいことになる(事情は今まで面々と更新してきた)。部屋を出る時に娘αから合格発表の時間を聞き、合格していれば電話するように言った。ダメ押しのように、

「合格したい?」

などと聞いた。アホな質問である。したい、に決まっている。そうして、祈り会の最中の13時過ぎ、そろそろか…と思っていたら、携帯が鳴り、

「合格したよ」「やったよ~(^^)/」

「おめでとう」(黒字)

私の「嫌な予感」は的中した。

 

それがまぁ、今日はなんと心晴れやかなことだろう。祈ってくださった姉妹の方々と一緒に食べようとお菓子をみつくろっていたら、結局見つからず、来週でいいやということになる。

昨日10日が合格した◎大の入学金(25万)を納入する期日で、αの本命は追加合格の◇大である。◇大の正式合格(していれば)電話連絡が3月末までにある。不合格なら待ちぼうけ。ちなみに、◎大に払った入学金は、いかなる理由があっても戻ってこない。ここで、おさらいしてみよう。

【考えうる最善の道】

◎大の入学金納入期日前に◇大の合格をもらう。

【考えうる最悪の道】

10日までに◇大の合格をもらえず、入学金を払う。

さらに、15日までに◇大の合格もらえず、◎大の残りの学費等を払う。(これは後日『入学辞退届』を出せば戻ってくる←◇大から合格をもらえた場合)

いつとも知れぬ◇大からの連絡…。戻ってこない入学金の25万も惜しいが、来ないかもしれない◇大からの電話を待ち続けるのはいかがなものか。電話が鳴る度に動悸がしそうだ(-_-;)ただでさえ、こちらは抗がん剤治療中なのである。

(-_-)/~~~ピシー!ピシー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

そうして、祈り会に着き、「どうなった?」と待ちかねた姉妹方に私は言った。

「◎大に決まりました。昨日入学金を振り込んで、たとえ◇大に合格しても、αは◎大に行くそうです」

(^。^)y-.。o○(≧▽≦)(^.^)/~~~(^0_0^)(^。^)y-.。o○

「8日に合格者見学ツアーというのに行って、それでαの気持ちが動いたみたいです」

喜びの報告であった。

 

◎大 VS ◇大

どちらも女子大であり、都心にある。信仰のあるなし以外の一番の違いは、

◎大=重要文化財にも指定されている優美なキャンパス

◇大=キャンパスなしのビルディング

αは◇大がいいという。維持費が高そう(=学費も◇大より大層お高い)な◎大キャンパスは、

眺めるだけで、別に通いたいとは思わない。

らしい。

ではなぜ、◇大なのか?と聞けば、

周辺の街並みが好き。

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

もうちょっと、「考える」なり「調べる」なりしろよ( `ー´)ノ

疲れた。

◎大に関心のなかった私だが、次第に「◎大への追い風」を感じるようになっていた。

ただ、決めるのはαの意志で決めてほしかった。

主がαに語ってください。導いてください。

祈りのなかで「合格者見学ツアー」というものに夫と3人で参加することになった。簡単に言えば、ここでαの気持ちが動いたのである。

眺めるだけで、別に通いたいとは思わない。

と言っていたのが、鹿鳴館と同じ建築家が建てたという建造物を案内されながら、興奮したαが、

「殺人事件が起こりそう」

案内役の職員の女性は、

「サスペンスドラマや映画のロケにもよく使われます」

と笑う。図書館の蔵書にも興味津々だった。

私は私で、こじんまりとしたキャンパス内に漂うアットホームな雰囲気、カソリックの愛と奉仕の精神のようなものにふれることができた。

何もかもが◇大とは対照的で、明らかに◎大に軍配が上がるとしか思えなかったが、αは何も言わない。

どこまでも……とろい( ;∀;)

限りなく…とろい。

答えをせかすのも逆効果だと思い、私は黙った。疲れはてた私は、夫とαを残して先に帰宅した。αが「◇大に合格しても◎大に行く」と言ったのは、それからかなり時間を要した。なぜかはわからない。本人にも、おそらく、わからないのだろう。

 

疲れた。

私が「合格者見学ツアー」に申し込まなければ、どうなっていたのだろう?

αだけではない。妹のβもそうだが、夫にも疲れ果てさせられた。

前にも述べたように、夫は今回のウクライナ戦争によって資産運用が大暴落したらしい。今回、「入学辞退届」によって返納されるにせよ、まとまった金額を納入することになる。夫は、こちらが聞きもしないのに、(以下、メッセージ)

「今週だけで俺の資産〇百万の目減り」

「今、~を現金化すると▽十万、万札燃やすハメに」

「もう死ぬ~」

……一方的にまくしたてる。

それは(あなたが『ハゲババアと呼んだ』)私のせいですか?

(あなたが『ハゲババアと呼んだ』)私と、どう関係あるのですか?

(「ハゲババア」については、入試(2)参照)

と言いたいところだが、夫の出方をみる。

今、自分がどれほど不幸な目にあっているか、どれだけ可哀想か、面々と語りたがるのはいつものことで、(私のがんのことなど、尋ねたこともない)呆れるばかりだが、もう、争いごとはたくさんだ。

「私が立て替えましょうか?」

と申し出て、すんなりとまとまった。

娘にかかる費用なら、出しますよ。

「出してくれないか」

と頼めないのだから、仕方ない。

お金は出しても「ハゲババア」と言われたことは、忘れないけどね。

(-_-)/~~~ピシー!ピシー!