合格取り消し(3)

(前回までのあらすじ)

双子の姉妹、αとβは、同じ大学・学部を受験し、αは「合格」、βは「追加合格候補」となった。ところが、入学手続きはすべてオンライン。父親の再三の催促を無視したαは、気づいた時には既に「入学手続き期限」を過ぎ、入学は不可となった。さらに、「追加合格候補」だったβの「追加合格」が決定した。

そういうわけで、合格した大学に入学できないことになった双子の姉α、一方、追加合格候補だったのが「合格」になり、大学入学することになった妹β……。

私が一番恐れていた、αの落ち込みやβへの嫉妬は、

見事なまでにない。

私が意識しすぎるのも妙なので、知らぬ顔をしてはいた。

ある時、

「(入学手続きしなかったことで、大学入学できなかったことについて)どういう気持ちよ?」

さらりとαに聞いた。すると、

「自分を見直すきっかけにしようと思う」

αらしからぬ、いかにも賢(かしこ)げなことを言う。

そして、浪人すると言うのである。

「(大学に)行ってもいいし、行かなくてもいい…」と言っていたαが、

「大学」に行きたくなったらしい。

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

そこにはβが大学生になることもあるだろう。

「大学入学」が閉ざされたことで、逆に行きたくなったのだろうか?

夫との話し合いもあったようだ。

浪人なぞ……私は経験もないからわからないが、大変な精神力を要するのではないか。

αには到底、無理…と思うが、本人が「大学へ行きたい」と言うなら、反対はできない。

祈る。

主が、αに「大学合格」を与えながら(=棚ぼた)「大学入学」を閉ざされたのはなぜなのか?

まだわからない。

αが「合格」で、αより成績もよかったβが「追加合格候補」だったことも不思議だが、仮にβもαと一緒に「合格」していたら、

(入学手続きの不備で)一緒に「合格取り消し」になっていたかもしれない。

(「追加合格者発表」は大分、後だった)

\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?

娘達の最善の道を拓(ひら)き、導いてくださいと、祈ってきた。

αの最善の道を、祈り続ける。

4月といえば、新年度……。

βの入学準備を整えながら、αが不憫にもなった。

2人一緒に入学できていたら……

という思いがよぎったが、それは違う。

今回のαの「合格取り消し」はβにも影響して、

αの二の舞は踏みたくない。

と、「入学手続き」は迅速に行われた。少し、大人になった。

αも変えられた。

私がどんなに頑張っても、どうしようもなかったことが、このことを通して、動き出した。