エステに行く(3)

そんなわけで、中高年の店長と中年の女性、二人でやっているエスにコロナ禍に行く。

わざわざコロナを選んだわけでは無論ない。

詳しい経緯は「エステに行く(1)(2〉」を参照されたし。

で、ひと月半ぶりにエステに行き、前にエステしてもらった中年エステシャンに、肌が別人のようになっている、と言われ、その理由を問われた私は、驚きながらも考え、新しいフライパンを購入してステーキにはまり、肉食になったことを話した。

「それまでホントに『食べたい』という欲求がなかったのに、身体が肉を求めるんです」

「は~ぁ、それでわかりました」

しみじみ納得する中年エステシャン。

「肌も骨も内臓も……すべてタンパク質でできてますから」

「そうそう…、髪の毛もね、白髪が減った気がするんです」

探せばちらほらあった白髪が…確かに減った。

どうしてだろう…と思っていた。

「髪もそうですよ。人間の身体は食べたものでできているわけですから」

そうかぁ、と思う。

「やたらと野菜、野菜…って言われるから、無理しても食べてたけど…。肉を食べると付け合わせのお野菜も食べたくなって、娘達とステーキと一緒に、野菜もジュージュー焼いて…」

「それですよ。そうやってリラックスして、娘さん達と楽しんで食べるのがいいんですよ……他のお客様にもお話しよう」

そういえば…お通じもよくなった。

「今日はいいお話を伺いました」

「私の方こそ……気づかせていただきました」

本当に…言われなければ気づかなかった。

「私達の業界では『うなはだけ』……と呼ぶんですけど。美しい肌の条件として、『う』は『うるおい』、『な』は『なめらかさ』、『は』は『張り』、『だ』は『弾力』、『け』は『血色』……」

「私の肌は、どこがよくなったんですか?」

「そうですね……肌理(きめ)が整ったということでしょうか?」

肌理……考えるとムズカシイが……

まぁ、よい。

結局、この日、エステでは他のお客にも会わず、予約の電話もかかってこなかった。

けれど…

また来店したくなった。