「徳川セックス禁止令 色情大名」(2)
江戸文化の爛熟した文化文政、徳川11代将軍、家斉(いえなり)の時代。
家斉は正室とは別に、21人の愛妾をもつ、精力絶倫将軍。
54人の子供が量産され、
大量生産された姫と若君の配給先(縁組み)を、家臣は必死に探さねばならないわけです。そして、
34番目の清姫と九州の田舎大名、小倉忠輝との縁組みが決まります。
この小倉忠輝、武門一筋で34歳にして独り身。女嫌いという噂もあり…。
この設定だけでも、面白い。
ブラックユーモアなセンスに満ち満ちた、見事な導入部だと思います。
家臣が言います。
「泰平の世を泰平なまま治めるのは、戦(いくさ)よりも難しい」
ここでタイトル。
いいですねぇ。
改めてこの映画を見て、
やっぱり、凄い。
唸りました。
見所満載。
見所ありすぎて…整理しきれるかしら。
何気ない台詞が実に洒落ています。
一方、(エロ)グロさも満載なので、グロの方は、なるたけ(娘達の手前)はしょることに致します。
ご了承くださいませ。
さて、縁組みの決まった清姫。
春画に描かれた男女の交わりを見つめながら、(年頃の乙女が、好奇心からエッチ本盗み読みするようなものですね)
「夫婦(めおと)になるには、この様な事をするのか? この形は難しいだろうのう……」
何ともはや、ほのぼのとして、いいですねぇ。
演じる杉本美樹。
棒読み台詞も、浮世離れしてる感じがして、なかなか良いです。
「でも、わらわは楽しみじゃ」
無邪気な姫君です。
教育係の中臈(ちゅうろう)、藤浪は気が気ではありません。
「性の営みは子孫の繁栄。あくまでも、そのためだけにあるのです」
厳しく諌(いさ)めます。
「田舎大名など(姫君の)下半身で十分」
「例え、淫(みだ)らに挑まれても、相手にせぬことが肝心」
完全な、上から目線。葵(あおい)の御紋のプライドですね。
九州と言えば、この時代、「地の果て」なのだそうです。
転じて、こちらは九州、小倉忠輝。
縁組みが決まり、藩をあげてのお祝いです。
武芸には秀でても、全く色気には無縁の殿。
入浴時、(家老の命で)多数の腰元が半裸で殿の前に現れるのにうろたえます。
どうやら、童貞のようです。
そうして、お付き年寄りから御用達まで、総勢1300人携(たずさ)えて、清姫がお国入りします。
童貞の殿に初夜の指南をする家老(殿山泰司)、味のある演技、はまってます。
「ある時は深く、ある時は浅く、これを21回繰り返すと、もういーい気持ちになって…」
「爺もそのような技術を会得(えとく)したのか…」
真面目一徹の殿に、家老は言います。
「女体征服は清姫の征服、清姫征服は葵の紋を征服」
そうして、迎える初夜。
おろした束髪に白装束、お馴染みの初夜のコスチュームの清姫ですが、
床に入ると足を広げ、
「参れ」
戸惑う殿に、
「早う参れ…早うせぬか」
こんなん、初めて見ました。
男性はロマンティストですから、殿はキスしようとするのを、
「そのような、はしたないことは嫌じゃ。余計な手数はかけずともよい」
中臈、藤浪の教えですね。
こんなんで…童貞の殿がうまく致せるわけがありません。
「殿、首尾は…」
「なにぶん、草深きところゆえ、どこがどうなっておるのか、わからぬのじゃ」
家老の知恵で、何とか、「めでたくお契(ちぎ)りあそばせました」となるのですが…。
「わらわはもう嫌じゃ。あれでは丸太棒じゃ」
姫にとっては、散々な初夜だったようです。
「和合安泰(初夜成就)、お祝い申し上げます」
挨拶に来た家老に、中臈の藤浪、甚だ不機嫌です。
「作法もわきまえず、丸太のようなものを姫に押し付けるなどと…」
家老は言います。
「夫婦の味がどのように愉しいものか、一朝一夕に味わえるものではございません。奮励努力して、ようやく辿りつく道でございます」
結局、清姫は、
「おしとね、御辞退」
ということになり…。
家臣が頭を悩ませます。ここはもう、
「殿を女好きにし、習得した技術で姫に物を言わせず…」
ということになり、大商人、博多屋に相談を持ち込みます。
この博多屋を演じるのが、渡辺文雄。(東大から電通を経て、どういうわけか松竹に入りました)
「3日3晩、殿をお預かりしたい」ということで、
あの手この手(教えません)^o^()で殿が性に目覚める訓練を施します。
そして、3日目、最後の仕上げが、
「生きたフランス人形」
当時、絶大な人気のあったフランスのポルノ女優、サンドラ・ジュリアン。
棺桶のような桐の箱に入って、殿の前に献上されます。