「能面女子の花子さん」

能面 多くは無表情の代名詞とされるが

能舞台では人の多種多様な感情を表現し
人々を魅了してやまない
こんなイントロで、『能面女子の花子さん』(第一巻)は始まる。
高校の入学式、名前を呼ばれて新入生代表として壇上に上がる泉花子は…能面をつけている。
『能面女子の花子さん』は2015年、講談社主宰の漫画新人賞を受賞した。現在、コミックスの第四巻が発売中である。
能面を制作していた一族の末裔で、一族のしきたりに従い、人前では常に能面をつけている少女、花子が主人公である。作者の織田涼子は、書店で「あ、織田涼の漫画だ」と思ってもらえるインパクトが欲しかった、と言う。
花子というキャラクターが誕生したのは2013年。日本の伝統文化をテーマにしようと漠然と考えていた。カルチャーセンターで能面の実物を見た瞬間、「これを漫画にしたら絶対面白い!」
能面を題材に、「能面をつけた女子高生」を描く、学園ギャグ漫画が生まれた。花子は鋼(はがね)の精神をもっているのか、はたまた天然なのか…?能面をつけて伸び伸びと高校生活を送っている。
ちなみに、花子の面は小面(こおもて・写真左)、母親の面は般若(はんにゃ・写真右)である。作者が能面に魅せられただけあり、非常にリアル。
能面自体の表情は変えないまま、集中線や掛け網のパターンで感情を表現できないかと格闘した。


「花子がかけている小面は角度によって全く表情が変わる。表情の微妙な違いがたまらない」
──何と作者は、描くだけでなく、面を彫ることもしているらしい。
第一巻が発売されるや即、重版!SNSやネット、書店の話題をさらった。
書店の『能面女子の花子さん』が平積みされている棚に、能面が飾られていたりする。
現在、金曜午後10時、NHKで放送中の昭和元禄落語心中雲田はるこの漫画が原作、落語ブームの火付け役になった。『能面女子の花子さん』…能ブームの火付け役にならないだろうか?(ネットで無料・試し読みアリ)→http://www.cmoa.jp/bib/speedreader/speed.html?cid=0000111658_jp_0001&u0=1&u1=0&rurl=https%3A%2F%2Fwww.cmoa.jp%2Ftitle%2F111658%2F