「サイモン・バーチ」(2)

サイモンの親友、ジョーの母親は高校3年でジョーを産みました。
未婚のまま、ジョーは父親の名前さえ知らされません。
爽やかなお色気振りまく美女、ジョーの母、レベッカ。サイモンもメロメロです。

実は、
レベッカの母、ジョーの祖母は、ホテルと間違われるような屋敷に住んでいて、そこにはジョー親子も同居していて、つまり、
ジョーの母、レベッカは富豪の娘
それが、
はずみで母親になった
というようなことらしいです。
レベッカの父親は一切登場せず、何故に「ホテルと間違われるような屋敷」に住んでいられるのか、説明はありません。
ただ、レベッカの母はサイモンを、
「ぞっとする子」
と言い、その声を
「絞め殺されるネズミ」
のようだと、嫌っていました。
ジョーが帰宅する屋敷。
サイモンも一緒でレベッカも現れます。
上機嫌のレベッカ、どうも、列車の中で「良き出会い」があったようです。
どうやらレベッカは、
嘗て、列車で男と知り合い妊娠した
その子供がジョーらしく…未婚のままヤンママになったようで…
この辺はオブラートに包まれます。

この日、列車で会った「良き出会い」の男とは、どんな男や…?
噂をすれば…ドアチャイムが鳴って、
レベッカのお相手登場…
風采の上がらぬ、太って人相も良くない、ベンの登場です。
演劇の教師だそうです。
手土産の袋をジョーに渡し、
「動いたら呼んでくれ」
…何やら、意味深です。
袋の中身に戦々恐々とするジョーとサイモン。
やがて、開いた袋の中身(カタカナで○○○○○)に絶叫します。
この○○○○○は、最後まで小道具として生きます。
その夜、ジョーの屋敷に泊まることになったサイモン、レベッカに言われ、親の了解をもらうべく電話すると、
「勝手にしろ」
と父親。
「お休みのキスしてもいい?」
レベッカの言葉に、サイモンは駆け寄ります。実の親から得られない愛情を、レベッカから受け取っているのがわかります。
薄着のサイモンを気遣うレベッカに、
「(セーターは)合うサイズがない」「特注は高い」
そんなサイモンに、レベッカは自分の膝掛けを取り、サイモンに羽織らせます。
サイモン少年、たまりません。
そして日曜の礼拝…。
ジョーとレベッカとベン、そして、父親の運転するオンボロトラックから降り立つサイモン、父親はそのまま帰ります。
礼拝にも出ない両親の元、どうしてサイモンはあそこまで「神様」信じるのか、誰の影響なのか…?
説明は一切ありません。
レベッカがサイモンに手編みのセーターを渡します。サイズが合うか心配するレベッカに、袖を通して、
「完璧だ。あなたみたいに」

ちなみに、サイモンはジョーの母親を「ウェントワースさん」と呼びます。
この映画、「神様」「信仰」という語がキーワードとして遣われる一方で、
教会批判
もしてるのですね。このブログでも何度か書きました。
「サンデークリスチャン」
日曜礼拝に行き、讃美歌歌って献金してメッセージ聞いて…世間的には「クリスチャン」だけど、
ほんまに信仰あるの???
日曜以外は、神様無視で好き勝手やってない???
サイモンとジョーの通う日曜学校の女教師が、冒頭から登場して、凄く世俗的に描かれます。
この日の礼拝では、司祭が「教会活動」について話をすると、サイモンが、
「神様は『活動』に興味ない」
「お金集めのために教会をつくったんじゃない」
拍手したくなりました。
教会と言えば…(経験上)
名簿があって、役職なんかもついてきて、献金は義務だし、礼拝に行かなくなるとハガキが来て…
そんなの、信仰と関係ないやんけ。
で、司祭に喧嘩売ったサイモン、日曜学校の女教師にどやされます。
「神様は皆に計画があるんだ」
と信じるサイモンに、
「神があなたに特別なご計画をお持ちだと?」
仮にも日曜学校の先生が、どの面下げて、こんな台詞ぬかす???
「神のご計画」は聖書にもあります。信仰の礎(いしずえ)だと思います。
人とは違う自分を、「神様のご計画」だと信じて、
神の使命を全うする道具
として受け入れるサイモン。
これぞ、まさしく信仰…!
サイモンと女教師のやりとりの中、ジョーの母、レベッカが現れます。
「(サイモンは)あなたより遥かに信心深い」
「さすが、ママだ」
とジョー。
サイモンと手を繋ぎ、ジョーと肩を抱き合いながら教会を出るレベッカ…。
三人の後ろ姿、美しいです。
しかし…。
野球の試合。
いつもならバッターボックスに立つサイモンに、
「バットを振るな」
と言う監督が、この日は試合を早く終わらせたかったらしく、
「バットを振れ」
と言ったのですね。
そうして、バットを振ったサイモンのボールは…
ファウルボールで場外に飛び、ジョーの母、レベッカの頭に当たり、
レベッカは死んでしまいます。