「第三の影武者」(2)

戦で目をやられた安高。
影武者の3人も同じように目を潰されることになります。
恐れをなして逃げ出す2号はあっけなく篠村(金子信雄)につかまり、1号3号の目の前で殺されます。

もう、逃げられません。
1号3号…医者に火であぶったメス状の刃物を左目に突き立てられます。
怖いです。
左目潰され、のたうち回る1号3号に、家老が
「明日より20石の加増をして遣わす」
と言えば、
「有難き仰せじゃ。この、果報者めが」
篠村の声が不気味に響きます。
同盟の奇襲に遭い、目の負傷で寝込んだままの安高でしたが、
「このまま逃げては安高の名折れ!」
家来に支えられながら出陣。
同じく寝込んだままの1号3号も、篠村に叩き起こされます。
味方は総崩れ、安高も腕に深手を負います。
篠村の指示で、3号雷蔵は安高と桜洞城へ落ちろ、1号には
「殿の身代わりになって討ち死にせい!」
と安高の兜をかぶせ、蹴り出します。
敵陣の矢を浴びる1号を3号雷蔵振り返り、顔が歪みます。
矢を浴びる1号の懐から巾着の紐が切れ、チャリンと小判が地に落ちます。

安高抱え、進むしかない3号雷蔵
ここまで落ちのびれば…
と一息ついたところへ、深手を負ってる安高が
「斬れ、この腕を斬れ。俺が命じる、斬れ」
傷口から黴菌が繁殖し、腕が腐ってしまう恐れがあるのでしょう。
「これで、早く斬れ」
苦しい息の下から3号に刀を渡します。
自分の腕を「斬れ」と命じる男と、命じられ、恐れおののく男…
同じ市川雷蔵が演じます。
「何をしとる。早く斬らんか」
斬られる方に催促されては、斬らないわけにいきません。
斬ります。
片目の上に片腕になった安高、
「無事(桜洞城に)届ければ恩賞を取らす、加増して遣わすぞ」
もう、おわかりですね。
片腕斬られた安高、影武者の3号(1号2号は惨死)に両腕あったらおかしいですね?
雷蔵、安高を殺してしまいます。
逃げ出す雷蔵、途中で篠村に見つかり、(安高は討ち死にしたと)言い繕います。
安高の身代わりとして矢を浴びた1号は、(脇の下にホクロがないと言う、側室の証言から)偽者だと判明したとか。

ここで篠村、恐ろしいことを言います。
左目潰された杏之介は見れば見るほど安高そっくり。
杏之介を殺し、その首をもって敵陣の軍門に下れば…?
震え上がる2号雷蔵に、
「おまえは、たった今から池本安高じゃ。影ではない。本物の安高じゃ」
「これくらいの大博打が打てなくては、この世に男と生まれた甲斐は無い。どうじゃ。うまくゆけばこれほど面白い話は無い。イヤなら…斬る」