続・事件(4)

金曜の夜中、虫カゴから逃走した子クワガタ。
娘達が大騒ぎするものだから、探さないわけにいきません。
娘達がマンションの階段で拾い、それを持ち帰って世話をして元気を回復したクワちゃん。一度目の逃走は簡単に見つかったものの、二度目は不思議なほど見つかりません。
娘達が感傷的になり「命」を尊ぶのはいいことなんだろうけど…。
この間、ダイニングでゴキブリを見つけた娘達。絶叫マシーンと化し、私が殺虫剤で仕留め、トイレに流しました。「あ〜気持ち悪かった」
クワちゃん探しながら思います。
ゴキちゃんの命はどうなの???
ゴキちゃんだって、ゴキブリに生まれたかったわけじゃなし。クワガタは甲斐甲斐しくエサを与えられ世話されるのに、ゴキブリは人類の敵みたいに殺虫剤に追いまくられトイレに流され…。
ゴキブリ可哀想やんけ。
とちょっと思う。
どうして神はゴキブリを創られたのか。
クワちゃん探しながら、色々葛藤します。
そして、
娘Aは祈り
娘Bは聖書を朗読し…
クリスチャンファミリーとして懸命に神に頼っているのに
どうして見つからないのか。
娘達、本気です。
このままクワちゃん、見つからなかったら、どうなるのか。
ドモ ヽ(゜▽゜*)Ξ(*゜▽゜)/ ドモ
だんだん焦ってきて、
エス様、どうオトシマエつけてくれまんねん。
という心境になります。
聖書読んでた娘Bは、何やらペンで書いています。
今度は娘Aが聖書読み出し…。私は必死にクワちゃんを探します。
けれど、見つからず…。
「ママ、クワちゃん、天国行くかなぁ?」
ああ、クワちゃん、お亡くなりになったの???まぁ、良い。
「天国でクワちゃんに会えるかなぁ」
「大丈夫だよ、天国だよ」
よくわからないけど、そう言うしかない。言いながら、あのトイレに流したゴキちゃん、天国に行ってほしいな、と思う。
娘Bが書いていたのはイエス様への手紙でした。
「神様、主イエス様へ
わたしたちの家ぞくのくわがたがいません。いくらいっしょうけんめいさがしてもいません。わたしたちはどんなにあなた様におねがいしたのでしょうか。それでもどうしてもその小さなとうとい命を見つけてほしいのです。くわがたの元気なすがたを見せてください。わたしたちの目のちりをすべてとりのぞき、そのくわがたをかくしているあくまをたいじしてください。おねがいします」
「めのちり」とか「あくま」とか、なかなか、聖書に則した手紙で感心しました。そんな娘達の必死の思いも届かず、クワちゃんは見つかりません。
それでも娘達はイエス様を恨むこともなく…
クワちゃんが無事に天国へ凱旋(がいせん)することを祈って眠りにつきました。
やれやれ…
と思った時には午前2時。
リビングの床にクワちゃん、突然、見つかりました。