歌舞伎でBL(ボーイズラブ)(2)

金曜の夜です
夜遊び返上でブログ更新のために帰宅してまいりました
お陰様で、「歌舞伎でBL(ボーイズラブ)(1)」なかなかの反響で、私としても苦労(勉強)した甲斐があるというもの。ありがとうございます<(_ _*)> アリガト
今夜も、皆さまと一緒にお勉強したいと思います
金曜の夜というのにお勉強…いいですね!


・:*:・゚☆d(≧∀≦)b゚+.゚イイ


ではまず、前回のおさらいから。
日生劇場で本日まで公演していた市川染五郎片岡愛之助主演の舞台、「染模様恩愛御書」(そめもようちゅうぎのごしゅいん)衆道、つまり男色、今で言うBL(ボーイズラブ)の世界を描いています染五郎演じる武士、大川友右衛門が小姓である印南数馬に一目惚れし、この二人の愛が少しも嫌らしくなく、逆に爽やかに美しく…描かれています
やがて友右衛門は武士の地位を捨て、数馬のいる細川邸に中間(下働き)として奉公するようになります。身を落とすわけですね。まるで、惚れた男のために、


良家の子女が遊女に身を落とすような


ちょっと違う(ー_メ)
でも、男が恋のために地位も名誉を捨てるわけです。数馬も友右衛門を受け入れ、契(ちぎり)を結ぶ…つまり、肉体関係をもつわけですね。何せ、舞台は映像でなくナマですから、一歩間違えば生々しくなり、歌舞伎の品位を損なうことになる。それを…


影絵(シルエット)でコミカルに見せていました


全体を通して感じたのですが、演出が非常に軽くてお洒落。シャープなんですね。従来の歌舞伎ファンにとっては重厚感がなくて物足りないかもしれませんが、こういう男色の世界を描くには成功したと思います。
何よりも…


愛之助演じる15歳の数馬の可憐さ…


秀逸でした。清らかで愛らしく、かと言って「女みたい」と言うのではない
お伽話に出てくるような美しい「少年」。前回にも書きましたが、まるで、


15歳のタッキー(滝沢秀明
ヤァ \(⌒∇⌒(⌒∇⌒(⌒∇⌒)⌒∇⌒)/ ヤァ


男が一目惚れしてもおかしくない!
ここは重要ポイントです。
15歳の数馬が誰の目にも魅力的でなければ、友右衛門はタダの色惚け男…になってしまうのですから。
それは見事な数馬でした。
なんと、愛之助、昭和47年生まれの38歳。染五郎(昭和48年)より年上なんですね!?
嘗ては女形で活躍していましたが、最近では男役に専念していたそうです。
映像と違って舞台では年齢関係なし(森光子89歳ですから( ̄▽ ̄;))とは言え…

役者って化け物…( ̄O ̄;


指先から足さばき、目線の色っぽさ…。天性の小悪魔的なあだっぽさと初々しさ…


38歳のオッサンが15歳の少年ですよ…
舞台では15歳の少年から20歳の青年になり、その辺の微妙な変化も違和感なく演じている
参りましたm(_ _)m

愛之助上方歌舞伎で活躍し、今では珍しい大阪出身で大阪在住の歌舞伎役者
この舞台で、染五郎×愛之助。東西の歌舞伎プリンスが禁断の世界を演じたことになります。

舞台では、「衆道」ともう一つ、大きな柱があります。友右衛門は数馬の父の仇を討つため兄弟の義を交わし、見事、宿敵、横山図書を討ち負かします。しかし、争いの末に起こった火事により、細川家の家宝であった御朱印状の入った宝蔵に火が移ってしまいます。細川家主君、細川越中守は二人の関係を認め支援してくれた恩人御朱印状が燃えてしまえば歴史ある細川家は断絶してしまいます。友右衛門はその義に報いるため、燃え盛る火の中に身を投じます。奪い取った御朱印状を自らの腹を割き、割腹した腹に入れて火の粉から守り…尽き果てるのです。
これは、細川家家臣、大川友右衛門の忠義伝説が元になっています歌舞伎では、お家の宝を割腹した腹に隠して守るというのは「血達磨物(ちだるまもの)」と呼ばれているそうです。
正徳2年(1712年)、「細川の血達磨(ちだるま)」という実録本をベースに戯曲として初めてこの物語が歌舞伎に取り入れられます

この「染模様恩愛御書」のベースは明治22年初演「蔦模様血染御書」(つたもようちぞめのごしゅいん)です。染五郎の「染」と愛之助の「愛」が一字ずつ使われたのですね。衆道の世界と血達磨(ちだるま)を二本の柱にしたこの演目は人気を博するも時代とともに公演が困難となり、しばらくの間、表舞台から姿を消すこととなります。公演が困難になった理由とは、

衆道の世界が異端視されるようになった
・火事場を演出するための本火の使用が興行場の安全性に置いて禁止されるようになった。


それが、およそ100年の歳月を経て…

衆道の世界はBLとして市民権を得映像・照明技術の革新によって、本火を使用しなくとも宝蔵の炎上シーンは表現出来るようになりました。そして、2006年、大阪松竹座で復活公演。今年の3月、日生劇場での再演となったわけです。


ふ〜う。
「歌舞伎入門」みたいな内容でしたね。


ちょっと賢くなった気がする(^O^)/


と思っていただければ幸いです。私自身、ちょっと賢くなった気分です(^ー^)ノ


愛之助の演技には驚嘆したのですが、染五郎も素晴らしかった
いくら数馬が魅力的でも、それに魅入られる友右衛門がタダの骨抜きではどうしようもない数馬がその愛に応えるだけの男でなければならないのです。友右衛門は、数馬に魅入られつつも男気があり、サバサバと爽やかで…。「見事」としか言いようがなかったです。


タダのプリンスじゃねぇなあ…


つくづく感じました。そりゃそうですよね?幼少の頃から踊りに三味線、鼓…。父親は師匠で猛稽古の日々…。18歳で6歳年上の相手と付き合って、隠し子騒動(19歳で未婚の父)…になるのですから。常人とは懸け離れた密度と倍速で人生を生きてるのだと思います。



新橋演舞場市川海老蔵を観た時にも、その女形があまりに美しくて、


女遊びも「芸のうち」なんだ…


と、思ったものです。一挙手一投足が、溜息出るほど美しい"+;・ο。.・;+:+.。ο・;+*:゜・☆ヾ♪"


歌舞伎の家柄に生まれた重圧…。それは「プリンス」なんて生易しいものじゃなく、血の出るようなプレッシャーだと思います。
そう言えば、海老蔵にも隠し子いましたよね?
何でも、歌舞伎の家柄には「良い子孫を残す」というのが大命題としてあって、地方の芸者に子供を産ませては、良い(男)子を選んで引き取っていたという歴史があるとか。男子が耐えれば家は途絶えてしまうわけです。寺島しのぶも松たかこも、男に生まれなかったことを悔しがったそうです。
怖いですね


庶民でよかった…


【ネ兄】ョД'*)【ネ兄】q( *'Д'*)【ネ兄】三 ヾ( *'Д '*)ノォメデト♪