障碍者の家族は不幸なのか(1)

7月27日放送、NHKEテレ「亜由未が教えてくれたこと」を見て、考えさせられた。障碍者は不幸を作ることしかできない」
昨年7月、19人の死者、26人の重軽傷者を出した津久井やまゆり園の殺傷事件を引き起こした犯人、植松聖の衝撃的な言葉である。
戦後最大の大量殺人から一年、
障碍者の家族は不幸ではない」
と声を挙げた人物がいた。

NHK青森放送でディレクターを勤める坂川裕野(26)氏である。(以後坂川D)坂川Dの実家は東京板橋。
3歳年下の妹、亜由未(23)は脳性麻痺と知的障害を伴う重度の障碍者である。
(首と右手以外動かない)今年2月、実家に帰った坂川Dは、両親に思いを告げる。亜由未の撮影を許可して欲しいこと。自分が一か月、亜由未の介助をしたいと申し出た。
その時の母親(55)(智恵さん)の反応がふるっている。
「介助すんの?…へ〜え…」

同じ家に暮らしていた頃、坂川Dは妹、亜由未の世話など一切、したことがなかった。
それは母親が望まなかった。
「裕野も(亜由未同様)子どもとして大事」
無理に亜由未の世話をさせるのは、裕野にとっても亜由未にとっても不幸。
今、裕野が亜由未の介助をしたいと言うなら、
WELCOME!!!(#^.^#)(*'▽')(^_-)-☆
なんと素敵な母親だろう…!ちなみに、この坂川家の表には、
「あゆちゃんち」

と可愛い張り紙がしてある。
重度障碍者「あゆちゃん」を隠すどころかお披露目するのである。施設に入れて隔離するのでなく、自宅で育て地域の人達と触れ合いながら育ってほしい、という思いである。
23歳、身長146センチ、28キログラムのあゆちゃんは、ベビーカーなのか手押し車なのか…に乗せられて散歩する。
通り過ぎる近所の人達に笑顔を振りまく。
床ずれと痰のつまりから、一日中体位交換しなければならないあゆちゃん。
夜中、母親の智恵さんは週五日、1時間おきの体位交換をしている。医師からは「2時間おきが目安」と言われたのを、あゆちゃんが楽なように、1時間おきにしている。
(仰向けではなく、横向きが楽)夜中から朝5時まで「一時間おき」の介助とは……。

先天性の心臓病で生後四日目に手術を受けたあゆちゃん。
その後、脳の血管が破れ障害が残った。子育ての苦労は、裕野さんの時とは比べものにならなかった。
ずーっと泣きっぱなし。
全部、拒否されてるような感じ。
言葉のない世界でもくもくと肉体労働をこなし、リハビリに通い…
本当におかしくなった。そんなある日、
大変だった一日、父親が帰って来てあゆちゃんを抱くと、ギャーと泣く。

それを智恵さんが抱くと泣き止む。父親が抱くと「ギャー」、千恵さんが抱くと泣き止む。
「この子は(智恵さんが)お母さんだってこともわからないんだろうなぁ」と医師からも言われ、泣きっぱなしで表情もなかったから、それは、
めちゃくちゃサプライズプレゼントだった。毎日の苦労が報われた。
「母親にならせてもらった」「特別な人にお互いなれた」